経済
苦境の駅弁業者たくましく 人気商品復活や送料無料
新型コロナウイルスの感染拡大で、旅行や長距離移動をする人が激減する中、駅弁業者が苦境に立たされている。行楽シーズンの3~5月は、一年を通じて一番のかき入れ時だが、売り上げは例年の半分以下に。一方で業者も手をこまねいているわけではない。過去の人気商品を復活させたりドライブスルーサービスを始めたりなど、たくましくコロナ禍に立ち向かう。(末永陽子)
大型連休中のJR新神戸駅。例年は帰省客や行楽客らで混雑するが、連日閑散としていた。同駅に店を構える淡路屋(神戸市東灘区)の柳本雄基常務はため息をついた。
「どこまで落ちていくのかというほど、売り上げは落ち込んでいます」
同社は1903(明治36)年創業。陶器に入った「ひっぱりだこ飯」や「神戸ステーキ弁当」など、約80種類を製造する。
新型コロナのあおりを受け始めたのは2月ごろ。新幹線や特急列車の利用者が激減し、3、4月の売り上げは前年同期比で7~8割落ち込んだ。今は商品を売れ筋の10種類に絞って生産を続ける。
同社は対応策として、4月から本社でのテークアウトや送料無料キャンペーンを始めた。意外にも県外からの注文が多く、「旅行気分を味わえた」「この味が自宅で食べられるなんて」など、駅弁ファンから喜びの声が届く。
5月には、笑っている豚をかたどった陶器に台湾料理のルーローハンを詰めた「豚々拍子(とんとんびょうし)」(税込み1100円)を発売。2004年に人気を集めた商品で、「笑顔を届けたい」と復活させた。柳本常務は「創業始まって以来の危機に、何もしないわけにはいかない」と意気込む。
もう一つの老舗メーカーも、工夫を凝らす。
JR姫路駅名物の「えきそば」で知られるまねき食品(姫路市)は、1888(明治21)年創業。政府の緊急事態宣言を受け、駅構内や商業施設などの店舗は休業し、売り上げは半分以下になった。
同社は「えきそばやお弁当が一番売れる時期なのに…」と頭を抱えながらも、同市北条の本社内にドライブスルーの臨時店舗を構えた。えきそばを割引価格で販売しているほか、「コロナにカツ!カレーライス」など特別メニューもそろえる。リピーターも多く、5月からはお弁当の商品を拡充した。
同社は「できることはすべて挑戦しながら、一日も早い収束を待つしかない」としている。
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