経済
百貨店「すぐに開けられない」 休業要請解除もジレンマ
新型コロナウイルス特別措置法に基づく休業要請が16日午前0時、兵庫県内の百貨店を含む商業施設に対しても解除される。各店は営業再開への動きを加速させるが、季節商品の入れ替えや感染対策も必要で「すぐには開けられない」(百貨店)のが現状。感染の再拡大も懸念される中、大々的に来店を呼び掛けることもできずジレンマを抱える。(三島大一郎)
大丸神戸店(神戸市中央区)など県内で3店舗を展開する大丸松坂屋百貨店。休業要請の解除を受けて15日夜に経営会議を開き、県内3店舗とも19日からの全面営業再開を決めた。
ただ、すでに営業を再開した食品フロア以外は、春物衣料など商品の入れ替えが必要になるとみられる。取引先の状況によっては、直ちに作業を始められない店舗が出てくる可能性もあるという。
感染防止指針に沿って、店内の対策も進めなければならない。同百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングの担当者は「従業員の健康管理を徹底し、店内の環境を整えた上で、営業範囲を順次拡大していくことになるのでは」とする。
同じく食品売り場のみで営業を続けるそごう西神店(同市西区)は現在、全館の営業再開に向けた対応を協議中。担当者は「早く再開したいが、日程は決まっていない」と話す。
婦人服などのフロアでは休業要請の解除前から一部の売り場で商品の入れ替えを開始。密集を避けるためレジ前に誘導ロープを張ったり、サービスカウンターの客用座席の間隔を空けたりする作業も進む。
8月末で営業を終える同店では、営業終了の約100日前となる今月22日から感謝セールを始める予定だったが、コロナ禍の影響で延期を決めていた。休業要請の解除でセールを開催できる状況にはなった。
ただ、いまだ感染の終息は見通せず、再び拡大する恐れもある。担当者は「来店者が密集するような『特価』『限定商品』などの表現は避ける必要がある」と強調。「安心安全に最大限配慮しつつ、顧客に喜んでもらえる企画を考え、笑顔で出迎えたい」と前を見据えた。