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ウイルスの働き抑えるランプ量産へ 新型コロナ抑止にも期待 ウシオ電機

2020.06.04
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事務室の窓口に抗ウイルスランプを設置するウシオ電機の担当者ら=たつの市新宮町芝田、兵庫県立龍野北高校

事務室の窓口に抗ウイルスランプを設置するウシオ電機の担当者ら=たつの市新宮町芝田、兵庫県立龍野北高校

 産業用ランプ製造のウシオ電機(東京)は、ウイルスの働きを抑える紫外線ランプを9月に売り出す。米コロンビア大の技術で、抗インフルエンザ効果は実証済み。同大が新型コロナへの効果を確認中という。ウシオ電機は播磨事業所(兵庫県姫路市)で量産する。

 同社によると、医療機器の消毒用などで普及している紫外線ランプより短い波長(222ナノメートル)の紫外線を出し、皮膚や目に影響がないのが特徴。2015年に製品化の権利を取得した。

 国内では、神戸大大学院医学研究科と連携。臨床試験で、照射量が増えても皮膚が赤くなるなどの急性障害が発生しないことを確認した。すでに大学病院など約10カ所の医療機関に導入し、待合室や診察室に使われている。

 地元の播磨地域でもこのほど、兵庫県立龍野北高校(たつの市)の玄関、体育館の入り口、事務室前に計3台を設置した。

 同校は看護科や介護福祉士を目指す総合福祉科などがある。卒業後、医療関係の職に就く生徒が多いといい、栗林秀忠校長は「医療現場へ安心して送り出したい」と話す。

 量産するランプは、一式約20万~30万円の販売価格を見込む。また、発光する部分だけを国内外の照明、空調機器メーカーへ供給する計画も進める。海外では北米の照明器具大手のアキュイティ・ブランズ社への供給契約を結び、今冬から米国で売られるという。

 「医療機関などから早くほしいという要請がある」とウシオ電機の広報担当者。「人が集まる環境で使え、ウイルスや細菌の感染リスクを減らせる。パンデミック(世界的大流行)の防止につなげたい」と話している。

 シンガポールでは、寝たきり患者の床擦れに照射して悪化を防ぐ研究も進めている。(塩津あかね)