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「フルーツしょうゆ」海外へ たつの特産「淡口」に果汁配合

2020.07.13
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タブレット端末を介して取材に応じる岡崎利彦さん(画面)と弟の義彦さん=宍粟市山崎町三津

タブレット端末を介して取材に応じる岡崎利彦さん(画面)と弟の義彦さん=宍粟市山崎町三津

 兵庫県たつの市特産の淡口(うすくち)しょうゆに、ブルーベリーやラズベリー、洋ナシなどの果汁を加えた「フルーツしょうゆ」。同県宍粟市出身の事業家・岡崎利彦さん(55)が8年前に商品化し、今年から海外で本格的に売り出そうとしている。日本の伝統調味料に、果物の風味をまとわせた兵庫発のユニーク商品は、海の向こうでも受け入れられるのか。関係者の挑戦を追った。(長尾亮太)

 手のひら大の瓶に白のラベル。「ビューティー・ソイソース」の商品名がアルファベットで刻まれ、味と香りを示す果実の絵が添えられる。岡崎さんが企画し、2012年に発売した。最初はザクロやブドウ、バナナ、チェリーなどの7種類を投入。17年にはモモやイチゴ、リンゴ味などを加えて13種類をそろえる。

■試行錯誤

 外車の営業マンを経て、欧州製の靴や洋服の輸入販売店を東京都内に開いた。仕入れで現地に足しげく通ううちに「買うばかりでなく、日本のものを売り込みたい」との思いが募った。10年、日本の伝統食材を現代風に磨き直して販売する会社を立ち上げた。

 和食の調味料として海外でも知名度のあるしょうゆに狙いを定めた。さらに欧州で親しんでもらおうと、チェリーやブルーベリーなどの風味が楽しめるバルサミコ酢を手本に、さまざまな果汁をブレンドしようと思い立った。

 製造で協力したのは、親戚を通じて関係のあった老舗の末廣醤油(しょうゆ)(たつの市)だ。末廣卓也社長(60)は「伝統的な製法を守ってきたので、独創的なアイデアに驚いた。しょうゆの消費量は減り続けており、時代に合わせた味も届けられる好機」と捉えた。

 果実の風味や彩りを引き立たせるため、ベースのしょうゆは淡口を選択。素材を生かそうと、保存料や香料を使わないことにした。欧州の人は「主菜の皿に残ったソースをパンに付けて食べる」と現地の知人に教わり、パンとの相性を重視した。

 ただ、フルーツらしさを出すために果汁を増やすと塩分濃度が下がって賞味期限が短くなってしまう。末廣さんと岡崎さんは、原料選びや配合方法を工夫し、試作と評価を繰り返した。

■販路開拓

 完成後に百貨店や都内の直営店、自社サイトで販売した。しょうゆと果物の組み合わせが珍しがられ、個人の贈答用を中心に浸透してきた。ただ、使い方をイメージしてもらいにくく、飲食店に卸すことも計画する。海外では、シンガポールの仏料理店が取り寄せて使う事例があった。今後は、健康志向の富裕層が多い北米市場で売り込みを強化するという。

 直近では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。発売時から営業してきた都内の直営店を6月末に閉店。自前の店は岡崎さんの弟義彦さん(48)が切り盛りする宍粟市内の1カ所のみとなった。岡崎さんは「自然の素材だけで味を生み出しているので、サラダから肉、魚、納豆、豆腐まで、どんな料理にも合う。コロナ禍に負けず、業務用や海外に販路を広げて反転攻勢したい」と意気込む。

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