ひょうご経済プラスTOP 経済 【ベンチャーを追う】IT技術者の自由を追求 完全リモートのシステム会社人気

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【ベンチャーを追う】IT技術者の自由を追求 完全リモートのシステム会社人気

2020.07.11
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自宅の一室でノートパソコンを開くK.S.ロジャースの民輪一博社長=神戸市長田区

自宅の一室でノートパソコンを開くK.S.ロジャースの民輪一博社長=神戸市長田区

 オフィスも決まった勤務時間もない「完全リモートワーク」のベンチャーに、就業希望者が集まっている。システム開発の「K.S.ロジャース」(神戸市長田区)。IT技術者の社長民輪(たみわ)一博(29)が2017年に設立した。「自由に仕事をしたいというモチベーションでつくった」「エンジニアが最も働きやすい環境を追求した」という。昼でも夜でも、自宅でも喫茶店でも、パソコンを開けば、そこが仕事場だ。

 会社の登記地は、銭湯を営む民輪の実家だ。執務は自身が出向く場所で、最近は喫茶店が多い。

 従業員約70人というが、姿は見当たらない。神戸に住むのは民輪1人だからだ。首都圏在住者が約85%、国内の地方都市のほか、ドイツ在住者がいるという。正社員は約1割。多くはフリーランスと副業者で、業務委託契約する。今年5月から、正社員の半分の週20時間働く「時短正社員」を始めた。

 営業は法人向けが中心で、企業の新規事業立ち上げや新サービスを、システム開発やコンサルティングで支援する。IT、不動産、建築、教育、通販業など幅広い。20年10月期の売上高は5億円弱を見込む。スタートアップ企業への投資もする。

 民輪は京都大大学院で電気工学を専攻した。学生起業で京都と大阪にIT関連ベンチャーをつくり、最高技術責任者(CTO)を務めた。企業に勤めたことはない。家業の影響もあって幼少時から夜型生活。毎朝出勤する社会のリズムは合わない。満員電車や1人暮らしにも抵抗があった。

 「時間管理をされず、働きたいときに働く」。民輪の考え方に基づき、従業員が勤務時間を自己申告する。海外旅行しながらでも構わない。

 自由な働き方を守るためのルールは「報、連、相」。週1回、業務の進捗(しんちょく)状況を確認する。直接会わないため、コミュニケーション不足に陥らないよう、注意を払う。労務関連の業務は社会保険労務士に外注。従業員の約9割をエンジニアで固め、本業にまい進する。

 設立から2年半。毎週のように経験者採用に応募するメールが届く。年700~千人。経歴やオンライン面談で合否を決める。20~25倍の狭き門になっている。平均年齢は30歳未満。他社のCTO経験者やインターネットテレビ局のエンジニアら多彩な人材が集まる。

 新型コロナウイルス感染防止で、テレワークへの注目が高まっている。そこで、中小企業向けのコンサルティングを6月から始めた。「リモートワークにはスキル(技能)が必要」とし、自社の取り組みを応用した支援ソフトを開発中だ。「生の声を聞き、組織運営の効率化にまで貢献したい」と意気込む。=敬称略=(大島光貴)