経済
神戸拠点にアフリカビジネス 定額制エアコンで新会社
アフリカのタンザニアで、サブスクリプション(定額課金)のエアコン普及事業を始めるスタートアップが、神戸に拠点を構えた。企業のアフリカビジネスを促進する神戸市の後押しを受ける。経済成長の“最後のフロンティア”と呼ばれ、市場拡大が見込まれる地で飛躍を目指す。(横田良平)
空調大手のダイキン工業(大阪市)と東京大発のベンチャー企業WASSHA(ワッシャ、東京)が共同出資し、今年6月に設立した。社名は「Baridi Baridi(バリディ・バリディ)」。スワヒリ語で「冷やす」の意味から採った。ダイキンから出向の朝田浩暉さん(30)=兵庫県伊丹市=が社長を務める。
バリディ社によると、タンザニアでは省エネ性能の低いエアコンが出回り、電気代が高い。補修が行き届かず、設置済みのエアコンの7割が使えない状態という。そこで、ダイキンのエアコンを貸し出し、月額などで課金する。エアコンの操作や支払いは、ワッシャが開発したスマートフォンのアプリを使用。ダイキンはエアコンの取り付け工事や修理を担う。
年内に現地法人を設立する。一般家庭のエアコン利用が進むと見込み、2024年に売上高10億円と黒字化を目指す。
ワッシャは以前から同国の未電化地域で、充電式の発光ダイオード(LED)ランタンを使った電力供給サービスを展開。18年にダイキンと東大が連携協定を結んだのを機に、アフリカ展開を探るプロジェクトが始動した。
朝田さんはその一環で、神戸市主催のアフリカビジネスセミナーを受講。同市が情報通信技術(ICT)分野でルワンダと連携し、ビジネス人材の派遣などをしていると知り、「自治体が企業のアフリカ展開を支援するのは珍しい。起業支援にも熱心。自分に合うと思った」と話す。
バリディ社の本社候補地は東京か大阪が挙がったが、朝田さんは神戸での創業を希望。市への相談を通じ、神戸新聞社が運営する貸しオフィス「120WORKPLACE KOBE」に入居した。戦略立案や資金調達の拠点にする。タンザニア以外の国での事業も目指し、「神戸発のアフリカ展開ベンチャーとして認知を高めていきたい」と話している。