経済
世界一のスパコンと同じCPU搭載「ミニ富岳」100円でお試し
神戸・ポートアイランドにある計算科学振興財団は今月下旬から、隣接する理化学研究所で整備中のスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」と同じ中央演算処理装置(CPU)を搭載した入門機を、企業などが手軽に試せるサービスを始める。「ミニ富岳」と位置付ける入門機の使用料は1時間100円(税抜き)。計算速度などで世界4冠を達成した富岳の性能の一端を体験してもらい、新規ビジネスや技術革新を後押しするとともに、その後の富岳の利用も促す狙い。(横田良平)
同財団は兵庫県や神戸市、神戸商工会議所が出資して2008年に設立。富岳の先代の「京(けい)」をはじめとするスパコンの産業利用促進などを担ってきた。
財団によると、計算機1台単位の比較では、入門機は富岳の9割程度の計算能力を持つという。ただし富岳は計432台の計算機が同時に作動して高速計算するのに対し、ミニ富岳は計8台しかないため、低料金で「お試し」的に広く利用してもらうことにした。
それでもパソコンより処理がはるかに速く、素材開発や設計など、製品に直結する本格的な計算に活用できる。先代のスパコン「京」での使用を見込んで作ったプログラムが、「富岳」でも使えるかどうかをテストすることなどもできるという。
財団では4月から、ミニ富岳2台を導入していたが、これまでは簡単な動作確認などの利用にとどまっていた。今回のサービス開始に合わせ6台を増設し、計8台とする。富岳の本格運用が始まる21年度からは利用料を1時間300円(税抜き)とする予定。
また今秋には、富岳の操作ノウハウなどの企業向け講習会も始める計画。世界最高性能のスパコンを最大限生かす環境を整え、幅広い産業利用を目指す。