ひょうご経済プラスTOP 経済 神戸ザック…ブランドつなぐ 手作り半世紀、廃業寸前で事業承継

経済

神戸ザック…ブランドつなぐ 手作り半世紀、廃業寸前で事業承継

2020.08.20
  • 印刷
「神戸ザック」のリュックなどを手掛けてきた星加弘之さん(左)と、神戸市の支援で事業を譲り受けた前川拓史さん=同市中央区港島中町6

「神戸ザック」のリュックなどを手掛けてきた星加弘之さん(左)と、神戸市の支援で事業を譲り受けた前川拓史さん=同市中央区港島中町6

 神戸市長田区を拠点に、半世紀近く登山用リュックサックを手作りして支持されながら、後継者不在で廃業寸前となった「神戸ザック」の事業を、同市内でセレクトショップなどを展開する企業が引き継いだ。10年ほど前から取引があり、同市の中小企業の事業承継支援施策を利用して、プロも評価するというブランドの命脈をつなぐ。(佐伯竜一)

 神戸ザックは1971年創業で、オリジナルブランド「イモック」のリュックなどを、登山好きの星加弘之さん(77)、和子さん(73)夫妻らで手掛けた。使いやすさやデザイン性で、登山家をはじめ幅広い層に愛されたが、弘之さんが体調を崩して2018年、同市産業振興財団に後継者探しを依頼した。

 セレクトショップ「ランチキ」などを展開するワークトゥギャザーロックトゥギャザー(神戸市中央区)の前川拓史社長(53)は、神戸ザックにほれ込んだ一人で、神戸や大阪、東京の自社店舗で販売し、大手アパレルにも卸した。

 以前から交流のあった星加さんが後継者を求めていると知り、「歴史のあるブランドを現在に近い形で残したい」と同財団に連絡、候補に登録した。条件を詰め、今年6月に譲渡契約を結んだ。同財団の事業承継施策の成約は2例目。

 前川社長はこの秋にも、神戸ザックの現本社近くに新たに工房を設けて移転し、展示も充実させる。イモックの職人を新たに募集。来年から3年ほど、星加さんを招いて技術を習得してもらう。

 「これで終わりと覚悟したが、私たちの気持ち、仕事が残ってうれしい」と星加さん。前川社長は「コロナ禍もあり経営環境は厳しいが、神戸で生まれ育った価値ある商品を引き継ぎ、業界、地域を盛り上げたい」と意気込む。

 前川社長が率いる別の会社が、神戸国際会館(同)で運営する店舗「じばさんele(エレ)」などで販売している。じばさんeleTEL078・855・2399、同財団TEL078・360・3220