ひょうご経済プラスTOP 経済 川崎重工、航空機事業の人員規模を縮小 二輪車事業と鉄道車両事業は分社化

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川崎重工、航空機事業の人員規模を縮小 二輪車事業と鉄道車両事業は分社化

2020.11.02
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川崎重工業の神戸本社が入るビル=神戸市中央区東川崎町1

川崎重工業の神戸本社が入るビル=神戸市中央区東川崎町1

 川崎重工業(神戸市中央区)は2日、二輪車事業を2021年10月に分社化すると、正式に発表した。鉄道車両事業も同時期に分社化する。造船、プラント両事業の統合は21年4月とした。主要6部門のうち3部門を対象にする大がかりな組織再編で意思決定を早め、新型コロナウイルス感染拡大による需要の変化や国際競争の激化に対応する。

 コロナ禍による旅客機部品の需要の急減に対応するため、航空機事業の人員を20年度中に600人縮小する方針も明らかにした。社員200人を一時的に他部門に配置転換し、派遣人員400人は契約を更新しない。納入先である米ボーイング社の減産が響いた。

 東京都内で会見した橋本康彦社長は、二輪車と鉄道車両事業の分社化について「業界で横のつながりを深めて機動的に動かないと(利益を上げることが)難しい市場になりつつある。分社化によって外部資本も入れやすくなる」と述べ、他社との連携も視野に入れていることを示した。

 造船は主力の坂出工場(香川県)の事業規模を絞り込んできたが、韓国メーカーなどに押されて環境はさらに悪化している。エネルギー関連製品を手掛けるプラント事業との統合に伴い、液化水素運搬船など成長が見込まれる水素関連製品に力を入れる。

 同社は21年3月期連結決算予想で200億円の営業赤字を見込んでいる。再編などで経営を立て直す考えで、橋本社長は「2021年度には必ず黒字化する」と強調した。

 この日は、中長期的な経営指針「グループビジョン2030」も併せて発表した。二輪車と鉄道車両、造船を含め、全社の事業を「陸・空輸送システム」「モーションコントロール&モータービークル」「エネルギー&マリンエンジニアリング」の3分野に大別し、相乗効果の拡大を図るとした。(西井由比子)