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かつ丼の「吉兵衛」 宅配用にレシピ、食材、専用器具を提供

2020.11.27
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焼き肉店の厨房(ちゅうぼう)で、吉兵衛のかつ丼を調理。マニュアル通りにすれば、誰でも専門店の味を再現できる=神戸市灘区浜田町3

焼き肉店の厨房(ちゅうぼう)で、吉兵衛のかつ丼を調理。マニュアル通りにすれば、誰でも専門店の味を再現できる=神戸市灘区浜田町3

焼き肉店の厨房(ちゅうぼう)で、吉兵衛のかつ丼を調理。マニュアル通りにすれば、誰でも専門店の味を再現できる=神戸市灘区浜田町3

焼き肉店の厨房(ちゅうぼう)で、吉兵衛のかつ丼を調理。マニュアル通りにすれば、誰でも専門店の味を再現できる=神戸市灘区浜田町3

 かつ丼店を展開する吉兵衛(神戸市中央区)は、全国の飲食業者に「玉子とじかつ丼」などのレシピや食材、専用器具を提供し、調理と宅配をしてもらうサービスを始めた。新型コロナウイルスの感染拡大で客足が落ちた焼き肉店や居酒屋など4店舗が新サービスを導入。「専門店の味を手軽に提供できる」と好評だ。

 吉兵衛は1979年、神戸・三宮にかつ丼専門店を開いた。厳選した豚肉や国産米、天然だし、パン粉、揚げ油で調理する商品が人気を呼び、兵庫、大阪で直営8店とフランチャイズ1店を展開する。2020年3月期の売上高は約4億4700万円、パート・アルバイトを含め約90人。

 コロナ禍で4月に店舗の半数を休業し、残りも店内での商品提供をやめて持ち帰りと宅配に絞った。4月の売上高は前年同月比で3割程度に減った。

 緊急事態宣言が解除されて通常営業を再開しても、客の戻りは7割程度。周りに経営の苦しい飲食業者は多く、吉兵衛ブランドのかつ丼を提供してもらうアイデアに行き着いた。

 新たなサービスで吉兵衛は、飲食業者に調理マニュアルを基にした講習を実施する。飲食業者は、食事宅配サービス「ウーバーイーツ」などのアプリに吉兵衛の支店として出店。専用の器具や既存の設備で調理したかつ丼を宅配するとともに、吉兵衛にサービス利用料と食材代を支払う。

 「神戸焼肉にくやん新在家店」(神戸市灘区)は、1日10~20食を受注している。客足が伸び悩む中、代表の西山浩由さん(37)は「予想以上の反響。ブランド力でリピーターが増え、売り上げの確保につながっている」と話す。

 吉兵衛のファンなどのつながりで、東京や京都、北海道でも新サービスへの参画を目指す飲食業者がいるという。吉兵衛は出店しなくても自社商品の販路拡大が期待できる。インターネットなどで事業や店舗の認知度を高め、2022年3月末には200店舗に広げたい考え。

 吉兵衛の上林守社長(39)は「専門のフランチャイズ店を増やす契機にもなれば」と話している。同社TEL078・515・6460

(佐伯竜一)