ひょうご経済プラスTOP 経済 「混まない店」コロナ拡大で追い風 子育て世代に安心感 西松屋チェーン

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「混まない店」コロナ拡大で追い風 子育て世代に安心感 西松屋チェーン

2020.12.16
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広々とした西松屋チェーンの店内通路=神戸市北区山田町小部

広々とした西松屋チェーンの店内通路=神戸市北区山田町小部

 ベビー服・子ども用品店を展開する西松屋チェーン(兵庫県姫路市)の「混まない店」づくりが、新型コロナウイルス感染拡大で追い風を受けている。店舗の多くが郊外の駐車場付きでマイカー利用しやすい。店内の通路幅はベビーカーを押してストレスなく擦れ違えるよう大半が2メートル以上ある。密になりにくさが安心材料となり、子育て世代を集めている。(三島大一郎)

 新型コロナ禍で小売り各社が苦戦する中、同社の2020年8月中間決算(単体)は売上高、純利益とも中間ベースで過去最高を更新した。緊急事態宣言が出た4、5月は客数が前年同月比で微減したが、6~11月は客数、客単価とも増加した。

 粉ミルクなど育児の必需品も多く取り扱い、乳幼児を連れて外出するのをためらう世帯の「巣ごもり需要」も取り込んだ。

 店づくりの特徴は広さの他にもある。セルフサービスが中心で、衣類はハンガー掛けでたたみ直す必要がなく、従業員は常時2~3人と少ない。人件費や販管費などのコストが高くなる繁盛店ができないよう、店舗数を増やして1店舗への客の集中を防ぎ、「混まない店」を成り立たせている。

 8月に就任した大村浩一社長(33)は、「買い物のしやすさと低コストを目的とした店づくりが結果として、コロナ禍でも安心できると評価された」とする。新規顧客を獲得し、足が遠のいていた客にも改めて品質と価格に関心を持ってもらうきっかけになった。

 国内の店舗数は1008店(11月末)。大村社長は「人口10万人の商圏に1店舗の割合で出店しており、5年後に1200店舗を目標にしている。子育て家庭の暮らしを豊かにする商品を提供し続け、収益につなげる」と話す。