経済
コロナ禍も好調 「業務スーパー」社長に聞く
神戸物産(兵庫県稲美町)がフランチャイズ展開する「業務スーパー」が好調だ。1号店の開設から20年余り。売れ筋商品を段ボールごと陳列し、牛乳パック入りのスイーツを自社開発するなどユニークな運営で900店舗に迫る。沼田博和社長(40)は「2025年に千店舗を目指す」と話す。(三島大一郎)
同社の20年10月期連結決算は、売上高が初めて3千億円を超え、収益とも過去最高を更新した。新型コロナウイルス感染拡大後も業績は伸び、沼田社長は「大容量で賞味期限の長い商品がそろっているイメージが、新たな顧客の獲得につながった」と受け止める。
安売りのため、無駄を省く店舗運営は徹底している。菓子や常温の袋詰め食品を段ボールごと陳列するのは、従業員の作業量を減らすためだ。品ぞろえも絞り込み、メーカーから直接、大量に仕入れる。冷凍と常温品を重点的に扱うのは、生鮮品に比べて売れ残りによる廃棄が出にくいからだ。
近年は、独創的なプライベートブランド(PB)商品が注目を集める。食品工場のM&A(企業の合併・買収)を積極的に進めてコストを抑制。牛乳パック入りの水ようかんなどがヒットした。沼田社長は「低価格、他社にない商品をそろえているのが特徴。さらに磨きたい」とする。
千店舗超えに向けた課題として、PB商品の一層の強化や接客などサービス水準の向上を挙げ、「各店舗の稼ぐ力をさらに高める」と強調する。加盟の希望は増え続けているといい、業務スーパー同士が競合しても収益を上げられるようにする。
認知度が高まった一方、「知っているけど利用したことがない」とする人が半数を占めたアンケート結果も。「商品を国内の隅々にまで届けられるようにしたい」とし、高齢者ら買い物弱者支援も念頭にインターネット販売の強化などを検討する。
【神戸物産と「業務スーパー」】 1985年設立。2001年、神戸物産に社名変更。00年3月、兵庫県三木市に「業務スーパー」1号店。フランチャイズ方式で、20年末時点で宮崎県を除く全国46都道府県に計896店舗。神戸物産が国内メーカーから仕入れた商品と、国内23カ所の自社工場や海外の協力工場で製造したプライベートブランド(PB)商品を供給。東証1部上場。20年10月期の連結売上高3408億円、純利益150億円。資本金6400万円。従業員数1372人(20年10月末現在、グループ会社含む)。