ひょうご経済プラスTOP 経済 六条大麦は麦茶だけちゃう 消費拡大へ加工品試作

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六条大麦は麦茶だけちゃう 消費拡大へ加工品試作

2021.03.30
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シフォンケーキやパン、コーヒー風味の麦湯などの加工品が紹介された意見交換会=加古川市加古川町寺家町、兵庫県加古川総合庁舎

シフォンケーキやパン、コーヒー風味の麦湯などの加工品が紹介された意見交換会=加古川市加古川町寺家町、兵庫県加古川総合庁舎

大麦活用の可能性について「他にない商品で地域力を高めることが大切」と話した浦松亮輔さん=加古川市加古川町寺家町、兵庫県加古川総合庁舎

大麦活用の可能性について「他にない商品で地域力を高めることが大切」と話した浦松亮輔さん=加古川市加古川町寺家町、兵庫県加古川総合庁舎

 兵庫県稲美町や加古川市など東播磨地域で生産される六条大麦「シュンライ」を活用するため、JA兵庫南(同市)が加工品作りを広める取り組みを始めた。六条大麦は主に麦茶の原料だが、近年の豊作に新型コロナウイルス感染拡大が重なり、昨年は出荷が伸び悩んだ。ピンチをチャンスに変えるため、糖質の低さや豊富な食物繊維に注目。農家や菓子業者にケーキなどの新商品開発を呼び掛け、消費拡大を目指す。(若林幹夫)

 同JAと県加古川農林水産振興事務所によると、東播磨は西日本有数の大麦の産地。35営農組合などが436ヘクタールで生産し、年間約1千トンを出荷してきた。

 しかし、2019、20年は排水対策など栽培管理の徹底で年1600~1700トンの豊作となり、出荷できない大麦が増えた。さらに、20年はコロナ禍による需要減が重なった。余った大麦は家畜用飼料に転用されたが、同JAは食用に活用しようと、加工品に本腰を入れることを決めた。

 今月22日、農家や食品関係者ら約50人を集めて意見交換会を開いた。試作品の一つとして、しっとりとした味わいで大麦粉100%のシフォンケーキを紹介。大麦は食物繊維が白米の20倍で糖質も低いため、高齢者や要介護者が安心して食べられるという。

 ほかに、大麦のポン菓子やういろう、焙煎した大麦をひいたコーヒー風麦湯などを振る舞った。加工原料の供給や流通は課題だが、大麦粉や、加熱して圧縮した「圧ペン大麦」などのサンプル品を紹介し、和洋の菓子業者などから提供の希望を募った。

 意見交換会には、稲美町のパン店「ダディーズベーカリー」店長の中濱光弘さん(37)も出席。「大麦を使ったことはないが、勉強になった。地産地消につながる点がいい。レシピも浮かんだ」と前向きだった。

 農業・食品産業技術総合研究機構のビジネスコーディネーター浦松亮輔さんは大麦の魅力について講演。病院食としての可能性などを評価しつつ、「まずはエリアで売って付加価値を付け、エリア内で消費してもらうことが第一優先」などと話した。