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70歳まで雇用、同一労働同一賃金… 4月から新労働法制、多様な働き方へ環境整備

2021.04.01
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 4月に新たな労働法制が始まり、兵庫県関連企業も態勢を整えている。希望者に70歳までの雇用を努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が施行されるほか、正規・非正規社員との間で合理的でない待遇差をなくす「同一労働同一賃金」が中小企業にも適用されるためだ。働く意欲を持つ高齢者に活躍の場を広げたり、人材を適切に処遇したりして、技能伝承や人手不足の解消につなげる狙いだ。(高見雄樹、横田良平、中務庸子、佐伯竜一)

■シニア世代の活躍

 シスメックス(神戸市中央区)は4月1日、定年を60歳から65歳に延長する。本人が希望すれば定年となる年齢を63歳などに短縮できるが、65歳まで正社員の身分を維持する。定年後は1年契約の嘱託社員とし、最長70歳まで更新できるようにした。

 同社は海外売上高比率が8割を超えるグローバル企業だが、「日本では雇用確保が社会的責任の一つとされており、そうした要請に応えたい」と延長の理由を説明する。

 従業員の4割が県内で働く三菱電機も、65歳以上の希望者が最長70歳まで働ける制度を4月に設ける。現在、60~65歳の従業員は約千人。2021年度は能力と職務の適性を探り、22年度から嘱託契約を結ぶ方針だ。

 同社は「人件費はかさむが、技能と知識で事業の成長に貢献してもらえる。シニア世代が活躍できる環境の整備は重要だ」とする。

 ただ、現役時代との賃金・処遇差を巡る労使間の利害調整が難しく、70歳雇用に踏み切りにくい企業も。

 60歳定年の県内の機械メーカーは、まずは定年を65歳に延ばす方針。「従業員にとって人生設計に関わる問題。会社側にも人件費負担がのしかかる。70歳までの就業確保は、65歳定年を実現させた後の検討課題」と担当者は打ち明ける。

 帝国データバンクによると、70歳まで雇用機会を確保する県内企業は有効回答486社の約20%。「現段階で対応は考えていない」との企業も3割強あった。

■中小企業も適用

 業務用食品卸のトーホー(神戸市東灘区)は、正規・非正規社員の仕事を明確に分けており、同一労働・賃金を適用すべき業務体系にしていない。一方、非正規から正規社員への登用を促す制度を15年に導入。以前から正社員への転換はあったが、登用への道筋を制度で明確にし、就業意欲と能力を高める。

 中小企業も正規・非正規社員で業務を区分する。駐車場運営などのイーエスプランニング(同市中央区)は正社員を業務に応じて「総合職」「営業事務」に分け、駐車場管理に契約社員らを充てる。県中小企業家同友会によると、小規模事業所の同一労働・賃金を巡っては「何から手を付ければ…」との声もあるという。

 同会代表理事でもあるイーエスプランニングの藤岡義己社長は「少子高齢化もあり、多様な働き方に対応しておかないと人材を確保できない」と話す。

 中小の労務管理を支える兵庫働き方改革推進支援センター(同市中央区)には同一労働・賃金の相談が昨秋ごろから増加。20年度は約730社を訪問、620社の相談に応じたが、20年10月から半年間に受けた相談230件のうち、59件(25%)を占めたという。

 河合篤センター長は「4月以降も訪問や相談は続ける。未対応の企業は連絡してほしい」と呼び掛ける。