経済
居酒屋チェーン店がフルーツサンド、持ち帰り コロナ禍、新業態でカバー
兵庫県内の居酒屋チェーン店が「非居酒屋」業態の新店で、新型コロナウイルス禍の影響を軽減しようとしている。緊急事態宣言に伴う時短営業要請と酒類提供店の休業要請に対応。サンドイッチ店や、コロナ禍で需要が高まる持ち帰りの専門店を開業して、客足の減少をカバーする。(赤松沙和)
神戸・三宮を中心にチェーン展開する情熱ダイニング(神戸市中央区)は、フルーツサンドイッチ専門店「恋するオープンサンド」(同市中央区北長狭通2)を5月1日に開く。既存チェーン店の人気商品で、特製食パンの上にこしあんと市内産イチゴなど季節の果物をふんだんに使ったオープンサンドを新店舗で提供する。7種類で840円から。
同社の2020年度の売上高は、前年度比5割減の3億円にとどまった。このうち、店内飲食でない弁当や持ち帰り商品の売上高が3分の1を占めたという。池原晃喜社長は「収益が見込まれる業態に力を入れて従業員の給与を保証し、収束後も見据えて士気を維持したい」と話す。
居酒屋チェーンのワールド・ワン(同市中央区)は今月24日、持ち帰り専門店を阪急神戸三宮駅西口の高架下でオープンしたばかりだが、出足は好調という。
大手チェーンでは、ワタミ(東京)が昨秋以降、居酒屋から焼き肉店への転換を進める。排煙ダクトで店内換気が徹底できる点に着目。首都・関西圏などで約20店舗を展開し、うち県内では川西、明石、小野市に各1店舗を持つ。緊急事態宣言後は酒類を提供せずに時短で営業を続ける。
ただ、同宣言の発令で休業や部分営業を余儀なくされる居酒屋は多い。
情熱ダイニングは、6店中4店を営業。しかも宣言中はランチ提供に限定する方針だ。ワールド・ワンは神戸市内20店のうち5店の営業にとどまる。担当者は「今後の経営への影響を見ながら、新たな対策を考えていきたい」としている。