経済
神戸製鋼、50年に温室ガスゼロ 独自の製鉄法活用で 中期計画
神戸製鋼所(神戸市中央区)は11日、2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を目指す21~23年度の中期経営計画を発表した。二酸化炭素(CO2)を抑える独自の製鉄法の活用、アンモニアを燃料とする発電技術の導入などを進める。製鉄などの生産工程では、30年をめどにCO2排出量を13年度比で3~4割削減する。
神鋼グループのCO2排出量の9割以上は鉄鋼事業が占める。鉄鉱石を蒸し焼きにして炭素成分を除き、CO2排出を約20%減らす独自の製鉄法を生かす。鉄スクラップを溶かす電炉の導入も検討する。
電力事業では、神戸市灘区の石炭火力発電所の既存2基で、バイオマス燃料を導入する。アンモニアはCO2を出さないことから燃料として使う割合を増やし、建設中の2基も含めて最終的には単独で燃焼させたいという。
カーボンニュートラルの実現に向けては鉄鋼他社との連携も検討するといい、この日会見した山口貢社長は「他社にとっても莫大な費用がかかる。コスト軽減や技術開発の観点からの連携はあり得る」とした。
また鋼材事業では固定費の削減を進める一方、高付加価値製品の割合を増やすなど、粗鋼生産が年間600万トンでも黒字を確保できる態勢を構築する。必要に応じ、不採算事業の再構築にも取り組む。
神鋼が同時に発表した21年3月期連結決算は、売上高が前期比8・8%減にとどまったが、純損益は前期の赤字680億円から黒字232億円に転換した。自動車向けなどの鉄鋼事業は振るわなかったが、中国のインフラ投資拡大や寒波に伴う電力逼迫により、建設機械、電力事業が堅調に推移した。
20年3月期は無配だったが、黒字決算を踏まえて1株当たり年間配当を10円とした。
22年3月期決算は、製造業の回復、世界的なコロナ禍対策の広がりなどを受け、増収増益を見込んでいる。1株当たり年間配当予想は未定とした。(森 信弘)




















