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オーダースーツ「最高の技術で」 老舗テーラー4店が共通ブランド創設

2021.05.20
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柴田音吉洋服店の柴田音吉社長。奥は初代が手掛けた伊藤博文のフロックコート。共通ブランドは英国調スーツ(右)を得意とする=神戸市中央区元町通4

柴田音吉洋服店の柴田音吉社長。奥は初代が手掛けた伊藤博文のフロックコート。共通ブランドは英国調スーツ(右)を得意とする=神戸市中央区元町通4

職人が手仕事でスーツを仕上げる(柴田音吉洋服店提供)

職人が手仕事でスーツを仕上げる(柴田音吉洋服店提供)

創業当時の柴田音吉洋服店(柴田音吉洋服店提供)

創業当時の柴田音吉洋服店(柴田音吉洋服店提供)

 1868(明治元)年、日本人初のテーラーとして創業した柴田音吉洋服店(神戸市中央区)が、全国の三つの老舗テーラーと手を組んで、オーダースーツの共通ブランド「センチュリー・テーラーズ・クラブ(CTC)」を創設した。熟練の職人が素材を厳選し、着る人の体形に合わせて丁寧に仕上げるといい、専用ホームページ(HP)を4月に開設して、最高級の技術と本物の魅力を伝えている。(塩津あかね)

 同店の初代は神戸で開業した英国人に弟子入りし、83(明治16)年に元町に会社を開いた。初代兵庫県知事の伊藤博文や皇族の洋服も手掛けたとされ、上品で型崩れしないスタイルで現在も全国にファンを抱える。

 顧客層は50歳以上が中心だったが、2年前に自社のHPを立ち上げると、30~40代の起業家や資産家などから注文が入るようになった。

 新しい共通ブランドは、新型コロナウイルス禍もあって紳士服市場が縮小する中、業界団体の主要メンバーの紳士服松崎(大阪市)、銀座テーラー(東京)、テーラー神谷(名古屋市)に声をかけて立ち上げた。

 これらの店では、国際基準である50時間以上の手仕事を駆使し、カウンセリング▽生地やデザインの選択▽採寸▽プレス▽型紙のカット▽仮縫い・補正▽本縫い-などのきめ細かい工程で仕立てている。

 HPではオーダースーツの魅力や種類、注文の流れを説明している。オーダーにふさわしい生地も紹介しており、将来的には英国の同業団体との連携も視野に入れる。

 価格は店舗によるが、柴田音吉洋服店は1着30万~40万円ほどが中心。CTCのHPから各店のHPを訪ねて、カウンセリングなどを予約する。

 市場の縮小を受け、百貨店や量販店でもオーダーメードに力を入れる動きが広がっているという。受注生産で在庫を抱えるリスクがなく、使わなかった生地を翌年に持ち越したり、転売したりできるためで、量販店のオーダーは約3万円からという。

 同店5代目社長で、初代の名前を受け継ぐ柴田音吉さん(71)は「技術で差別化し、ラグジュアリーブランドとして確立したい」と話している。同店TEL078・341・1161