経済
世界初の液化水素運搬船 川重が建造、実証実験へ
川崎重工業(神戸市中央区)が建造した世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が24日、神戸空港島(同)の専用荷役基地で報道関係者に公開された。豪州で品質の低い石炭「褐炭」から水素を生成し、液化して日本に運ぶ。2021年度内に岩谷産業などと共同で実証実験に乗りだし、30年ごろの商用化を目指す。
水素ガスを零下253度まで冷やして液化し、体積を気体の800分の1に抑える。燃焼時に二酸化炭素を出さないことから発電所や燃料電池車での活用が期待され、脱炭素社会の切り札として注目される。
運搬船は全長116メートル、総トン数8千トン。真空構造で断熱性を高めたタンクを搭載し、75トンの液化水素を輸送できる。
この日は、タンクから伸びる配管や操舵室を公開した。船から港の貯蔵タンクに液化水素を移すアームなど、荷役設備も披露した。川重の担当者は「液化水素の運搬技術では世界のトップを走っている」と話していた。(中務庸子)