経済
業績明暗、7割減収も半数は利益増 テレワーク対応に各社苦慮 兵庫県内企業3月期決算
兵庫県内上場74社の2021年3月期決算は、新型コロナウイルス禍で業績の明暗が分かれた。約7割の企業が売り上げを減らしたが、経常利益を増やした企業は43%、最終的なもうけを示す純利益を伸ばした企業は半数の37社に上った。各社のコロナ対応ではテレワークの実施に四苦八苦する一方、対応する機器の購入など一定の投資をした企業も多かった。
21年3月期から連結決算に移行したシャルレと、開示を2度にわたり延期したOKKを除く74社で集計した。
■明暗くっきり
売上高を減らしたのは50社。売上高1兆円超の神戸製鋼所や川崎重工業も含まれる。21年の春から初夏にかけ、1回目の緊急事態宣言で経済活動が停滞した要因が大きい。
経常利益を増やした(黒字転換を含む)のは32社。うち10社は減収だったが、利益率の高い製品の販売などで増益を確保した。国から給付された雇用調整助成金が経常利益を押し上げた企業もあった。
純損益は増益・黒字と減益・赤字が同数となった。医薬品のJCRファーマや研究者派遣のWDBホールディングス、IT機器用金属表面処理剤の石原ケミカルは最高益を更新。アパレル大手のワールドや川重などは過去最大級の赤字となった。
■遠隔業務で投資も
21年3月期の決算発表時に、コロナ禍のテレワーク対応についても聞いた。製造業では「実施は難しい」「(テレワーク実施率は)10%程度」という回答が多かった。グローリーは「生産現場を除くと50~80%」とした。石光商事は「非接触率」との独自指標で70%を達成。午前7~9時の混み合う電車を避けて出社した人は感染リスクが低いと見なしている。
テレワーク関連の設備投資では「自宅作業用のパソコン購入やウェブ会議システムの導入」(帝国電機製作所)、「オンライン営業用の個室整備を準備中」(東リ)、「ネットワーク増強」(神鋼、TOA)などが挙がった。投資額は数百万~2千万円程度。新明和工業は「22年3月期にテレワークを含むIT環境整備に2億円」とした。
建材メーカー、ノザワの野澤俊也社長は「テレワークが長く続くと、社員が成長する機会が奪われる」と危機感を示した。(まとめ・高見雄樹)





















