経済
神戸でがん遺伝子解析 今秋にも開始、ロボで自動化も シスメックス、国内2カ所目
医療用検査機器・試薬メーカーのシスメックス(神戸市中央区)は、がん組織の遺伝子を網羅的に解析するサービスを今秋、神戸市西区の拠点で始める方針を明らかにした。国内では、子会社の理研ジェネシス(東京)が手掛ける川崎市の拠点に次いで2カ所目。川崎重工業(神戸市中央区)などと共同開発した新型コロナウイルス自動PCR検査システムの成果を踏まえ、ロボットによる自動化を検討する。(高見雄樹)
同サービスは、がん患者の遺伝子変異を調べて、一人一人に適した治療法や医薬品を特定する。国内では2社しか手掛けていない先進分野で、検査は保険適用される。
今秋にも、神戸市西区の産業団地「神戸ハイテクパーク」にあるシスメックス研究開発センターに検査ラインを設ける。
同センターでは7月、新型コロナのPCR検査ロボシステムが稼働し、1日に1500件の検査が可能になる。同システムはシスメックスと川重、両社が折半出資したメディカロイド(同)の3社が昨春、開発に着手し、短期間での製品化に成功した。
遺伝子解析の全自動化は難しいが、一部でロボットに適した作業もあるとされる。自動化率を高めれば検査コストが下がり、低価格で遺伝子解析サービスを提供できる。個々の病状に応じた「個別化医療」の実現に一歩近づく。
シスメックスの浅野薫取締役専務執行役員CTO(最高技術責任者)=メディカロイド社長=は「がんの遺伝子検査も(新型コロナの検査と)同じようなプロセスが一部にあり、ロボットを入れて効率化したい。検査の自動化ニーズはまだまだあり、メディカロイドとして外販も考えている」と話している。