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育児と仕事の両立へ新たな選択肢を 在宅で可能なウェブ製作技術を指導、あっせん

2021.06.15
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画像編集技術を教え、母親たちに在宅での仕事をあっせんする取り組みを進める榊原杏奈さん(左から2人目)=神戸市中央区野崎通7

画像編集技術を教え、母親たちに在宅での仕事をあっせんする取り組みを進める榊原杏奈さん(左から2人目)=神戸市中央区野崎通7

子どもを見守りながら、仕事にも取り組める室内遊び場「PORTO」を開設した佳山奈央さん=神戸市中央区八幡通4

子どもを見守りながら、仕事にも取り組める室内遊び場「PORTO」を開設した佳山奈央さん=神戸市中央区八幡通4

 子どもを預けてフルタイムで働くか、退職して育児に専念するか-。妊娠や出産で多くの女性が迫られる決断に、新たな選択肢となり得るサービスが兵庫県内で生まれている。在宅でも可能なウェブコンテンツ製作の技術を教えて注文をあっせん。子どものそばで仕事ができるスペースも登場した。目指すのは「バリバリ」でも「育児専念」でもない、中間層の支援だ。(中務庸子)

 「スカートをなびかせるように見せるには、この機能を使います」。神戸市中央区のビルの一室で、映像製作会社の男性が専用ソフト「フォトショップ」を使って画像の加工方法を解説する。対面やオンライン形式で受講するのは、全員が子育て中の母親たちだ。

 企画したのは、育児中の母親の就労を支援する「ママクリエイターラボ」(神戸市中央区)の代表、榊原杏奈さん(40)。講師はプロに依頼し、全14回のカリキュラムで画像・動画編集、ホームページデザインを月2回教える。修了者には仕事も仲介する。映像会社には、PR動画やホームページの製作依頼が多く寄せられるといい、主に中小企業からの案件を母親たちに委託している。

 榊原さんはもともと大手百貨店に勤め、婦人服売り場などを担当した。産休・育休を経て職場復帰した後に退職し、ファッション講師の育成や女性の就労支援を始めた。

 多くの女性からさまざまな悩みを聞くうちに、子どものいる女性は再就職のハードルが高く、子育てとやりがいを両立できる仕事が少ないことに気付いた。そこで、家でもできる仕事の技術を身に付けてもらおうと、2019年に母親のクリエーター育成を始めた。

 これまでの修了者は計10人。依頼主が支払う制作費の5~8割が母親らに入る仕組みで、5万~8万円の月収を得られるという。榊原さんは「育児と仕事のバランスは人それぞれだし、子どもの成長によって比重も変わる。いろいろな選択を応援したい」と意気込む。

    ◇   ◇

 子どもの近くで仕事に取り組めるスペースが昨年12月、神戸・三宮に誕生した。室内遊び場「PORTO(ポルト)」を運営する佳山奈央さん(29)は「フリーランスで働く母親たちにも喜んで使ってもらっている」と笑顔を見せる。

 ポルトには保育士が常駐し、遊戯室の一角で自分の時間を過ごせる。仕事もこなせるように机を置き、無料Wi-Fiやコンセントを備えた。

 認可保育所の利用は週5日働く人が優先され、都市部では週2、3日や1日数時間だけ仕事をする人の受け皿は少ない。ポルトは、月9千円で平日利用し放題などの割安プランを用意。アロマセラピーやライターなどの個人事業主が、利用者の1~2割を占める。

 佳山さんは「子育ても仕事も緩やかに頑張りたいという中間的な志向を持つ人は少なくない。そういう選択ができる社会づくりを支援できれば」と話す。