経済
決め手は「着心地」 東京五輪の柔道着、ミズノがシェア首位
阿部一二三、詩の両選手=神戸市兵庫区出身=をはじめ、東京五輪で史上最多の金メダル9個を獲得した日本柔道。選手に柔道着を提供したスポーツ用品大手のミズノ(大阪市)が今大会、メーカー別でトップシェア(着用者数ベース)となった。日本柔道は国別メダル数で首位に。柔道着でも日本のメーカーが、表彰台の頂上を制した。(塩津あかね)
ミズノが、選手用の柔道着の開発を本格的に始めたのは1978年。その前年に入社してから開発に40年以上携わってきた慶徳藤男さん(62)は「当初はどの大会に出向いても、誰もミズノ製を着ていなかった。今回、多くの選手に採用されたのは本当にうれしい」と喜ぶ。
現在、国際柔道連盟(IJF)が公認し、五輪や国際大会で使用できる柔道着のメーカーは世界で15社。このうちミズノと九櫻(大阪市)、アディダスの日独勢がトップ3とされる。
ミズノ製は日仏で公式サプライヤーを務め、それ以外の国でも着用する選手が多い。ミズノによると、速報値のため具体的な数値は非公表だが、今回の東京五輪で着用者数ベースの柔道着シェアが首位となった。1984年のロサンゼルス五輪で初めて採用されて以来、トップシェアは4回目。2019年にあった世界柔道選手権に続く快挙で、五輪では00年のシドニー大会以来21年ぶりだ。
多くの選手に愛用される理由は「着心地」だ。慶徳さんによると、最初は全国の大会や道場などに足を運び、選手との信頼関係を築くところから始めた。多くの選手の意見を聞き、社内の開発部門と連携して生地や縫製などに改良を重ね、30パターンのサイズをそろえた。きめ細かいサイズ展開で自分の体に合うものを見つけやすいのも、人気の理由とみる。強豪国である日仏の選手が着用していることもプラスに働く。
07年には柔道着の規制が強化され、生地の仕立て方や縫製の方法まで明確にルール化された。海外では生地や襟を分厚くするなど、相手と組みにくい柔道着が流行した。しかし、IJFが本来の姿である「組み合う柔道」に戻そうと、生地に重量制限を設けるなどの規制に踏み切った。
細かく基準が決められ、「柔道着の特長を打ち出しにくくなったが、公平な柔道になった」と慶徳さんも評価する。そんな中で、ミズノは素材感などを選手らからアドバイスしてもらい、体形に合う柔道着を作ることに心を砕いている。
慶徳さんとともに、柔道着作りを通じて日本代表選手をサポートする太田晴子さん(48)は「阿部一二三選手は大幅な減量で体型が変わるので、サイズへのこだわりは人一倍強い」と話す。上着は減量後にぴったり合うように作るが、サイズが最適かどうかを毎回、尋ねられるという。妹の詩選手は手足が標準より長く、それに合わせて袖と股下を長めに作っている。
昨年は新型コロナウイルス禍で競技人口が減少し、柔道着の市場も縮小した。ミズノによると、五輪の開催年は販売が上向く傾向にあり、「今回は自国開催で選手も大活躍だったので、今後に期待したい」としている。
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