ひょうご経済プラスTOP 経済 「恩をあだで返されたようなもの…」 関西スーパー争奪戦、オーケー進出巡り攻防5年

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「恩をあだで返されたようなもの…」 関西スーパー争奪戦、オーケー進出巡り攻防5年

2021.09.07
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神戸新聞NEXT

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ディスカウントスーパー、オーケーの店舗=千葉県浦安市

ディスカウントスーパー、オーケーの店舗=千葉県浦安市

関西スーパーの店舗が入る複合商業ビル=神戸市兵庫区水木通7

関西スーパーの店舗が入る複合商業ビル=神戸市兵庫区水木通7

 関西スーパーマーケット(兵庫県伊丹市)がエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングとの経営統合を発表してから7日で1週間が経過した。この間、首都圏を地盤とするディスカウントスーパーのオーケー(横浜市)が、関西スーパーの買収意向を表明。同社の争奪戦に発展した。3社を巡っては、かねて関西進出の機会を探ってきたオーケーと、企業風土などの維持を図ってきた関西スーパーを軸に、5年間にわたる攻防が繰り広げられてきた。(横田良平)

 「関西最強の地域密着型食品スーパー連合を目指したい」。8月31日の記者会見で、関西スーパーの福谷耕治社長と、H2Oの荒木直也社長は口をそろえた。

 H2Oの案は子会社のイズミヤ(大阪市)、阪急オアシス(同)との株式交換で経営統合する。調達や物流、商品開発などで相乗効果が見込めるのに加え、福谷氏は「ともに関西が地盤。H2Oのブランド力やスケールメリットも享受できる」とした。

 オーケーによる買収提案を回避するための統合ではないかとの質問が出たが、両氏とも否定した。

 一方、オーケーは9月3日、臨時株主総会での統合案否決と撤回などを前提に、関西スーパー株を1株2250円で株式公開買い付け(TOB)すると表明した。価格は関西スーパーの上場以来最高値と同額に設定し、「全ての株主に損がなく、十分喜んでもらえる価格」と強調した。

 オーケーは、自社経営の根幹において「関西スーパーを参考にしてきた」とする。過去には関西スーパーの創業者、故北野祐次氏の厚意を受け、売り場づくりや生鮮品の鮮度管理などの手法を学ぶために社員を派遣したこともあるという。

 そんなオーケーが成長を期し、関東圏に次いで進出を図ったのが関西だった。

 ■関西進出

 オーケーは関西進出に関し、以前から「自社出店よりも、好立地に店舗網を有する関西スーパーのグループ化を通じた進出が望ましい」と考えていたという。2016年4~8月にかけて、関西スーパー株を約8%取得。資本業務提携を目指したとされるが、協議に至らなかった。関西スーパーは同年10月、かねて打診があったとするH2Oとの資本業務提携を発表し、H2Oが筆頭株主となった。

 兵庫県内のスーパー関係者は「関西スーパーからすれば、オーケーに恩をあだで返されたようなもの。懇意だったH2Oの協力を得て、オーケーの介入を防ごうとした」とみる。その後、関西スーパーとH2Oは、同一商品の取り扱いやポイントサービスの共通化などで関係を深めた。

 一方のオーケー。新型コロナウイルス禍の「巣ごもり需要」もあって、21年3月期の売上高は5082億円と3年前の42%増、経常利益は314億円と3年前の2倍以上に拡大した。だがコロナ禍後の事業環境を見据え、今年4月ごろから「持続的成長には関西スーパーとの協業を通じた関西進出が不可欠」と考え、関西スーパーに資本業務提携の協議・検討を6月に申し入れた。

 これに対し、関西スーパーは社外取締役らでつくる特別委員会に諮問するとともに、H2Oと経営統合の検討を本格化。特別委はH2O案の選択を勧告した。特別委はオーケー案の反対理由に、業態の違いにより融合が困難▽顧客ターゲットが異なり、ブランドイメージを損なう可能性▽人事政策の違いによる従業員の不利益とサービス低下の恐れ-などを挙げた。

 関西スーパーの関係者はオーケーを「いい会社」と評しつつ、「(企業風土などが)うちとは合わない」とする。

 今後の焦点は、臨時株主総会での経営統合議案の可否に移る。可決されれば、関西スーパーはH2Oグループに入る。否決された場合、オーケーは経営統合案の撤回や関西スーパー経営陣の賛同を前提に、TOBを行う意向だ。関西スーパーは「撤回するつもりはない」とする。

 H2Oを含め、3社とも今回の意思決定は「企業価値の向上と株主の利益に資する」と位置づける。関西スーパー争奪戦の帰趨は、株主の判断に委ねられる。