経済
川重の二輪子会社 電動バイク、水素エンジン開発…30年度の売上高目標1兆円
川崎重工業(神戸市中央区)は6日、二輪車事業を分離独立させた完全子会社カワサキモータース(兵庫県明石市)の事業方針説明会を東京都内で開いた。二輪はモーターとエンジンを併用するハイブリッド車(HEV)や、モーターと電池で走る電動車の開発を急ぐほか、オフロード四輪車などの生産を強化し、2030年度の売上高を20年度の約3倍となる1兆円に引き上げる目標を掲げた。(中務庸子)
川重の二輪車事業は、大排気量の高級バイクや水上バイク、芝刈り機用エンジンを手掛ける。グループでは数少ない一般消費者向け製品を扱うことから、市場ニーズへの対応を加速するため今月1日付で分社、新会社を設立した。
21年度は連結売上高4100億円、営業利益250億円を見込む。従業員は約9300人。
二輪事業について、新会社は世界的人口増による成長を予測しており、脱炭素社会の実現を視野に、HEVと電動車を25年までに計10機種以上投入する。また35年までに日本や北米、欧州で主要機種の電動化を完了する。電動車への切り替えが難しい大型バイク用には水素燃料エンジンを開発する。
国内に80カ所あるライフスタイルの充実を提案する店舗を海外にも広げ、インターネットを活用した販売を拡充するという。
二輪以外では、北米を中心にニーズが広がるオフロード四輪を成長のけん引役に位置付ける。アウトドア人気の高まりなどから市場規模は10年で約3倍に伸びると言われており、メキシコに工場を新設し、米国の既存工場の設備増強と合わせて5年間で約300億円を投資する。電動車の開発にも取り組む。
芝刈り機用の汎用(はんよう)エンジンも北米の市場拡大が予想され、現地の生産能力を増強する。
カワサキモータースの伊藤浩社長は「意思決定のスピード化に向けて分社は悲願だった。顧客に密着した製品・サービスの提供を通じ、ブランドを強化したい」と力を込めた。