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副業での就農拡大へ 神戸市がネクストファーマー制度

2021.10.12
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神戸新聞NEXT

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 神戸市は、サラリーマンらが副業で農業に取り組みやすくするための新制度を導入した。耕作面積の要件を緩和するとともに、本格的な就農時に必須の研修期間を大幅に縮めた。農家の高齢化に歯止めがかからない中、「半農半X(エックス)」と呼ばれる新たな副業の農家を増やすことで、耕作放棄地の拡大を食い止める。(山路 進)

 同市は8月下旬、就農の間口を広げようと「神戸ネクストファーマー制度」を設けた。新たに農業を本業とする農家(新規就農者)とは別に、他の仕事を持ちながら小規模な農業を始める人を「ネクストファーマー」と位置付け、登録することにした。農家より小規模な農業者を定義付ける制度は、大阪府など一部自治体にあるが、全国でも珍しい。

 同市での本格就農には、兵庫県の兵庫楽農生活センターや農業大学校、ベテラン農家などで1年以上、計1200時間の研修を受ける必要がある。しかし、会社勤務などとの両立は難しく、退職後に受講する人が大半だ。耕作する農地も10アール(約千平方メートル)以上を確保しなければならず、就農のハードルとなってきた。

 新制度は、登録に必要な研修を計100時間、12日程度と就農よりも大幅に短くした。月に2日間、週末だけでも約半年で修了できる。

 登録希望者は、市が認定する農業スクールで学ぶ。営農に最低限必要な栽培や販売のほか、農道、ため池などの管理といった農村での取り決めなどを、実習と座学で身に付ける。修了後、スクールなどが市内の100~千平方メートル未満の農地を紹介。農業委員会での手続きを経れば、小規模な農業を始められる。

 さらに、2年以上の経験を積めば、就農に必要な研修を受けたとみなし、国などの補助を受けられる農家になれるようにした。市農政計画課は「今の仕事を続けながらでもチャレンジできる。就農の裾野を広げ、移住や農家数の増加につなげたい」としている。

 市は、ネクストファーマーを育成する認定研修機関を募っている。市外郭の神戸農政公社TEL078・991・1557