経済
電気代の一部で社会貢献「エネファン」 教育やスポーツなど約150団体に寄付 新電力・エネラボ
利用者が電気料金の一部を地域活動に寄付できるサービスを、新電力のエネラボ(大阪市)が始めた。教育やスポーツなどの約150団体に資金が届けられ、利用者は少額でも毎月、無理なく社会貢献ができる。兵庫県内でも11団体が寄付先に登録され、さらに増える見通し。同社は「新たな寄付文化を提案したい」と周知を進めている。(高見雄樹)
同社が今夏立ち上げた「エネファン」。多くの市民から資金を集めるクラウドファンディング(CF)にちなみ、エネルギー料金からの寄付という意味を込めて名付けた。
寄付の仕組みはこうだ。同社の電気料金は月平均で関西電力よりも5%ほど安く、この分が寄付の原資になる。関電並みの料金を負担して差額の全てを寄付する5%コース▽新電力の低料金の恩恵を受けながら、一部を寄付する0・5%コース▽中間の2%コース-の3種類の料金体系がある。
寄付先は子どもや教育関連の非営利組織のほか、まちづくりグループ、カヌーやブラインドサッカーなどのスポーツ団体まで幅広い。寄付先を絞り込めなければ、同じ部門の全団体に対して均等に寄付することも可能。契約者はこれまでの寄付額などをサイト内の専用ページで確認できる。
小児がんなどを治療する子どもと家族が過ごす、国内でも数少ない施設「チャイルド・ケモ・ハウス」(神戸市中央区)も寄付先の一つ。運営団体の代表を8月から務める俳優の堀内正美さん(71)は「非営利組織が会員制交流サイト(SNS)などで活動を発信するには限界がある。エネファンのようなプラットフォーム(基盤)ができ、すぐに寄付に結びつかなくても、関心を持ってくれる人との接点ができるのはうれしい」と話す。
エネラボは地域密着型の新電力会社、岡山電力(岡山市)のグループ会社で、法人を中心に約1万件の電力供給契約を持つ。平井敬明取締役(44)は「単発のイベントや事業が多いCFに比べ、少額でも継続的に寄付できるのが利点。電気代に含まれるので個人の負担感は少なく、社会に貢献したいという思いを形にできたら」と話している。