経済
アクリル板越しでも会話スムーズ TOAのマイクスピーカーに「グッドデザイン賞」
窓口やレジなどで、新型コロナウイルス感染予防の仕切り越しに会話する際、相手の声が聞き取りやすくなるマイクスピーカーシステムを、音響機器メーカーのTOA(神戸市中央区)が開発した。小型で設置場所を選ばず、簡単に取り付けられる機能性などが評価され、10月には日本デザイン振興会の「グッドデザイン賞」を受賞した。兵庫県内からは2021年度、TOAを含む計25件の同賞受賞が決まった。(中務庸子)
同システムは、音量などを調整する親機(縦14センチ、横13センチ、厚さ3センチ)と、子機(縦横各6センチ、厚さ2センチ、重さ50グラム)2台がセットになっている。
子機には声を拾うマイクと、拡声するスピーカーを搭載し、2台の裏面の磁石でアクリル板などを挟み込んで設置する。子機は親機とケーブルでつなぎ、仕切りの向こうの相手に声を伝える。仕切りやマスク越しでは高い音が聞こえにくくなることから、高音が強く出るように設計した。
白を基調とするシンプルな意匠も評価され、累計5千セット以上が売れたという。担当者は「病院や役所、小売店など幅広く活用してもらえてうれしい」と話す。
■兵庫の企業、続々と
グッドデザイン賞は、デザインの力で暮らしや社会を豊かにすることを目的に1957年に始まった。同賞のホームページによると、2021年度は5835件が審査され、1608件の受賞が決まった。
うち上位100位に、同県内からは極東開発工業(西宮市)の大型ダンプトラックが選ばれた。土砂などを積む荷台部分に高強度の鋼板を使い、補強の骨組みを減らして側面と底面を一体加工することで、軽量化や積載量の確保につなげた。
TOA以外の県内関連のグッドデザイン賞では、アシックス(神戸市中央区)の運動時に呼吸しやすいマスクも選ばれた。
白鶴酒造(同市東灘区)の若手社員らが若年層や初心者向けに提案する日本酒「別鶴」、デンソーテン(同市兵庫区)のホームオーディオスピーカー、MonotaRO(モノタロウ、尼崎市)などが開発した運搬時に音が出にくい折りたたみ台車も受賞した。