経済
高齢者の安否確認や口座見守り みなと銀が支援事業に参入へ
みなと銀行(神戸市中央区)は、高齢者の支援事業に銀行本体で参入する方針を固めた。11月に銀行法が改正され、業務範囲が広がったことから決めた。当局との調整を経て、早ければ来年2月にもサービスを始める。法改正を受けてITや広告分野に進出する銀行は多いが、高齢者向け事業は珍しい。
同行の武市寿一社長(59)が15日までに、神戸新聞社の取材に明らかにした。
まず、安否確認と緊急時の駆け付けサービスを実施する。安否確認は銀行の職員が月に1回、電話で近況を聞き取るほか、3カ月に1回は自宅を訪問する。その際、口座の入出金履歴を職員と共に確認する「口座見守りサービス」も提供する。
緊急時の駆け付けは、神戸市内の専門業者に委託する。観光分野で連携する神姫バス(姫路市)の旅行商品を、安否サービスの契約者向けに紹介することも検討している。
価格は同種のサービスを参考に、契約時に100万円程度、月額は数千円で調整している。高額でも親族がいなかったり、遠隔地に住んでいたりする独居高齢者のニーズは大きいと判断した。
行内に5人程度の専任者を置き、運営が軌道に乗れば定年後に再雇用した人材を充てる。兵庫県内全域を対象とし、窓口や営業担当者が新サービスを紹介。最初の1年間で60件、6年間で計500件の契約獲得を目指す。
今後は顧客の要望に合わせた高齢者施設の紹介や、自宅の売却を手伝うサービスにも広げる。武市社長は「本体で取り組むことで、より責任は重くなる。銀行の信用力を生かし、お客さまに利用してもらいやすい商品にしたい」と話した。(高見雄樹)
高齢者向け事業への参入を表明した武市寿一社長=神戸市中央区三宮町2