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企業の「後継者不在」改善 コロナ禍、経営悪化で選定加速 同族以外の伸び目立つ

2021.12.31
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サンドイッチ店を創業した小笠原恵さん(左)から事業を継いだ山根智治さん。同族や従業員だけでなく、第三者への譲り渡しが事業承継の底上げを左右するとされる=神戸市灘区(今年7月撮影)

サンドイッチ店を創業した小笠原恵さん(左)から事業を継いだ山根智治さん。同族や従業員だけでなく、第三者への譲り渡しが事業承継の底上げを左右するとされる=神戸市灘区(今年7月撮影)

神戸新聞NEXT

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 兵庫を含む近畿2府4県の企業に後継者の動向を尋ねたところ、「不在」とした割合が61・6%で前年比4・7ポイント減り、2019年から3年連続で改善したことが、帝国データバンク大阪支社の調べで分かった。新型コロナウイルス禍による経営環境の悪化などを受け、高齢者が代表を務める事業所を中心に後継者選びの動きが強まったとみられる。調査を始めた11年以降で最も低い水準となった。(佐伯竜一)

 同社データベースの約4万6千社について、21年の状況を分析した。

 21年の後継者「不在」は約2万8300社だった。11~20年の改善幅は2・3ポイントにとどまったが、この1年で大きく改善が進んだ。

 経営者の年代別はいずれも改善したが、とりわけ「80代以上」は3・5ポイント減の27・4%と、低下幅が最大となり、初めて3割を切った。

 業種別も全てで改善し、前年72・4%の「建設」、70・8%の「サービス」はそれぞれ4ポイント低下、全業種が7割を下回った。不在の割合が最も低かったのは「製造」で、6・3ポイント減の53・8%だった。

 事業承継できた後継者の属性は、「同族」が最多の42・7%を占めたが、前年比は2・3ポイント低下した。

 半面、同族以外の伸びが目立った。従業員登用などの「内部昇格」は2・9ポイント上昇の33・6%、「M&A(企業の合併・買収)ほか」は0・5ポイント増の15・2%、「外部招聘(しょうへい)」は0・3ポイント上昇の6・2%だった。

 兵庫の後継者不在の割合は、前年比5・9ポイント減の57・9%で全国29位だった。改善は2年ぶりで、5割台は初めて。改善幅は近畿最大となった。

 同支社は、コロナ禍で多くの企業が経営危機に直面し、事業承継の検討を始めたとみて「関連税制やファンドの整備も後押しとなっている。同族以外への承継を進めるためにも、内部管理体制構築、経営人材のマッチングの支援などが必要」と話している。