経済
神東塗料が試験データ改ざん疑い 水道用鋳鉄管向け合成樹脂塗料で
東京証券取引所1部上場の中堅塗料メーカー、神東塗料(尼崎市)は12日、鋳鉄製の水道管に使われる合成樹脂塗料で試験データを改ざんし、不正に認証を取得して製造出荷していた疑いがあると発表した。同社は対象製品12品目の出荷を停止。納入先の水道管メーカーや自治体も出荷や工事を見合わせている。
神東塗料によると、製品の安全性や不適切行為の期間、製造出荷量などは調査中という。13日にも外部人材を交えた特別調査委員会を設置する。
昨年11月に内部通報があり、所定の条件と異なる試験の結果を基に認証を取得した疑いが判明した。認証相当品についても、納入先との間で決めた仕様を満たさない製品を製造出荷していた疑いがあるという。
認証を行う日本水道協会によると、問題となった合成樹脂塗料は、地中に埋設する水道用鋳鉄管の外側に塗って腐食、さびを防ぐ。管の接合部分では、塗料と水が触れる構造という。
発表を受けて、顧客の水道管メーカーも相次いで水道管の出荷を停止。水道用鉄管で国内シェア6割のクボタは、阪神工場(尼崎市)で11日から、神東塗料製品を使う全ての鋳鉄管の出荷を取りやめた。大成機工(大阪市)も、水道管を造る三田工場(三田市)で出荷を見合わせる。
影響は自治体にも及び、尼崎、西宮両市は12日、それぞれ10カ所以上で進める水道管の更新工事を停止し、神東塗料製品が使われていないかを確認する。神戸市水道局も、神東製を使った配水管の工事は、安全性が確認されるまで停止するよう工事業者に伝えた。尼崎市の担当者は「1月は工事が集中している。工期が延びるなど影響が大きくなるかもしれない」とした。