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オミクロン感染急拡大 さらなる対策迫られる企業

2022.01.23
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昨夏には緊急事態宣言を受け、入店を制限した百貨店も。関係者からは「これ以上の対策は難しい」との声も漏れる=昨年8月20日、神戸市中央区明石町、大丸神戸店(撮影・坂井萌香)

昨夏には緊急事態宣言を受け、入店を制限した百貨店も。関係者からは「これ以上の対策は難しい」との声も漏れる=昨年8月20日、神戸市中央区明石町、大丸神戸店(撮影・坂井萌香)

神戸新聞NEXT

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 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の急速な感染拡大を受け、企業は従業員の欠勤に備えた体制づくりや感染対策の見直しを迫られている。兵庫県内では、阪神・淡路大震災や東日本大震災などを踏まえ、自然災害を想定した事業継続計画(BCP)を持つ企業はあるが、感染リスクの対応は遅れているケースも。コロナ禍が長引く中、BCPの更新などさらなる対策が急務となっている。

 オミクロン株の急拡大に伴い、政府や自治体は1月に入り、BCPの作成を改めて企業に要請した。社会生活を支えるインフラの公共交通機関や店舗は備えを急ぐ。

 阪急電鉄は、泊まり勤務に入る乗務員の仮眠部屋を個室にするなど、感染対策を強化している。JR西日本は、自然災害に加えて、数年前にすでに新型インフルエンザを想定したBCPを策定。多数の職員が感染した場合も運行が維持できるよう優先順位などを盛り込んだ内容で、「今ある計画をベースに柔軟に対応していく」とする。

 今月中旬に男性運転士の感染が判明した阪神バス(同県尼崎市)。車内では運転席に近い座席を空席にするなど対策を続ける。感染者が増えた場合は、旅客減で運休している路線から要員を回すという。

 過去に地下食品売り場でクラスター(感染者集団)が相次いだ百貨店業界も危機感を強める。昨年は入店客の人数制限を求められた時期もあり、各社は消毒やマスク着用、従業員同士の距離の確保といった従来の対策に力を入れる。

 加古川ヤマトヤシキは昨年、感染リスクに応じたBCPを新たに作成し、濃厚接触者が出たケースなどを具体的に示した。ただ、複数のテナントでクラスターが発生した場合は休業となる可能性もあるため、担当者は「まずは感染を広げないよう消毒などを徹底する」。しかし、別の店舗からは「人が集まる場所なのでリスクをゼロにはできない。正直これ以上打つ手はない」との本音も漏れる。

 生活協同組合コープこうべ(神戸市東灘区)はライフラインを守るため、店舗の維持を優先させる。感染などで現場の働き手が足りなくなれば、本部などから人を出す計画という。

 新たに応援チームを編成したのは尼崎信用金庫(尼崎市)。支店で感染者と濃厚接触者が多数出た場合、本部から派遣し、支店の職員を丸ごと入れ替える。支店長や窓口担当者など約10人で3班を編成し、全90店を対象としている。

 一方、中小企業ではノウハウや人員の不足が策定の壁になっている。

 播磨にある部品メーカーの会社役員は「テレワークではできない作業が多いので、今後考えていかなくてはいけない課題」としながらも、「まず策定する人材を確保するのが難しい」と困惑する。「自社の社員が感染しなくても、取引先や供給網でクラスターが起きれば意味がない」と厳しい実情を打ち明けた。(末永陽子、高見雄樹、大盛周平)

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■BCP策定進まぬ、兵庫の企業

 帝国データバンク大阪支社が発表した昨年5月時点の調査では、BCPを策定している兵庫県内の企業は14・4%にとどまった。策定率は都道府県別で31位で、全国平均17・6%を下回った。策定も検討もしていない企業は42・9%を占めた。

 同支社の担当者は「コロナ禍で本業の売り上げもままならず、特に中小企業は策定費用の確保が難しい。感染対策まで手が回っていない」と分析する。

 兵庫県はコロナ前の2019年度から、事業所のBCP作成を後押ししている。事業を中断させないための方針や体制、手順などを定めた独自のチェックリストを公開。従業員らに理解を促すための補助金も設けている。

 BCPを担当する県防災企画課には昨年、問い合わせや相談が増加したという。担当者は「BCP作成が契約や投資に必要なケースも増えている。コロナ禍で関心がさらに高まっており、今後はスキルやノウハウの支援にも力を入れていく」と話した。(末永陽子)

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