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淡路のカーネーション農家悲鳴 コロナ禍に温室用重油の高騰追い打ち

2022.02.01
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温室でカーネーションを手入れする安賀正明さん=淡路市谷

温室でカーネーションを手入れする安賀正明さん=淡路市谷

神戸新聞NEXT

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 原油高で温室内を暖めるための重油の価格が高騰し、兵庫・淡路島のカーネーション農家が影響を受けている。新型コロナウイルス禍で結婚式やイベント向けの需要が回復の兆しを見せず、厳冬で重油の使用量も例年より増えており、産地から悲鳴が上がる。(山路 進)

 「燃料代の高騰に加え、今年の厳しい寒さ。燃料代は昨年の1・5倍以上かかり、経営は厳しい」。淡路市のカーネーション農家安賀正明さん(70)は肩を落とす。

 2棟のガラス温室で栽培し毎年10月~翌6月、約20万~30万本を出荷する。2020年からのコロナ禍に伴う外出自粛などで出荷量は3割以上減ったまま。そこに、燃料高と厳冬のマイナス要因が重なった格好だ。

 カーネーションは、気温が12度を下回ると成長が止まり、品質と生産量が低下するとされる。このため、冬場は昼夜を問わず栽培施設を温めて育てる。安賀さんは、ボイラーで重油をたいて温めた水を温室に張り巡らせた配管に送って内部を暖める。

 産油国の減産に伴い、ガソリンと同様に重油価格も高止まりが続く。昨冬は1リットル当たり80円前後だったが、今季は100円を上回っており、経営を圧迫されている。国と生産者が積み立てる燃油高対策の基金も、補償の範囲は最大で上昇分の半額にとどまり、効果は限定的だ。

 20年の同市のカーネーション出荷量は1850万本と全国4位だった。5月の「母の日」をはじめ、結婚式や仏花向けに関西、首都圏などに供給される。しかし、農家数は57戸と08年の129戸から約6割減り、平均年齢は70歳を超える。

 市花卉(かき)組合会長を務める安賀さんは「コロナに燃油高騰のダメージは大きい。市場や販売先への運搬賃も値上がりして経費は増えているのに、販売価格は50年前と変わらない」と嘆く。「このままでは産地の維持に関わる。各家庭でカーネーションを飾ってもらい、少しでも需要を拡大してほしい」と訴える。