経済
「無人運航船」実用化まであと少し 超過密航路で世界初成功 古野電気、高性能レーダーで後押し
フェリーやコンテナ船を無人で運航する実証実験が2025年の実現に向け、着々と進んでいる。船員の高齢化や人手不足が深刻化する海運業界も、課題解決につながると期待する。プロジェクトを進める日本財団(東京)は1日、世界屈指の船舶過密エリア、東京湾を含む航路で、コンテナ船の無人運航に成功した。兵庫県西宮市の船舶用電子機器メーカー古野電気も、障害物を見つける高性能レーダーなどで夢の実現を後押しする。
東京湾は、毎日約500隻が航行し、世界屈指の船舶過密エリアとして知られる。同財団によると、これほど混雑する海域での無人運航成功は世界初という。
古野電気など国内30社が参画するコンソーシアム(共同事業体)が、東京都-三重県間(往復約790キロメートル)の無人航行に挑んだ。山口県の船舶管理会社が所有するコンテナ船「すざく」(全長約95メートル、総トン数749トン)が2月26日に東京港を出て、27日に津松阪港に到着。同じルートを戻り、3月1日に無事、約40時間の船旅を終えた。
古野電気は、無人航行に欠かせない船舶の周囲を監視する高精度の「ミリ波レーダー」を開発、4基を実験船に搭載した。
通常のレーダーでは半径40メートル以内を捕捉できず、船員が目視でカバーする。これに対し、ミリ波レーダーは、半径4、5キロ圏内の他船や沖に浮かぶブイも一つずつ判別でき、操舵室の死角となる船から1メートル足らずの至近距離も捉える。さらに緊急時に陸上から船を操る遠隔操作機能でも実験航海を支えた。
今回の実験では、東京湾を含むほぼ全ての航路で、無人航行に成功した。一方、東京湾より数多くの漁船が行き交う一部海域では、安全を期して船内の人による操船で対応したという。同財団の広報担当者は「多数の船への対応にはまだ課題が残る。レーダーでの捕捉や回避などの質は、さらに高めなければならない」とする。
2020年から、同財団や国内の船舶関連企業が進める無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の一環。総事業費約88億円で五つのコンソーシアムが六つの実証実験を行う。今年1、2月には日本海(福井県-鳥取県間)、太平洋(北海道-茨城県間)で、コンテナ船やカーフェリーの無人運航に成功した。
国内貨物輸送を担う船員は、20年に約2万8千人と半世紀前の4割にまで減り、半数以上が50歳を超える。海難事故原因の約7~8割が人為的なミスで、船員の負担を減らすためにも無人運航に掛かる期待は大きい。同財団は「今後、関連する法改正などに向けて機運も高めたい」とする。
古野電気は、1、2月の実験にも参画。センサー技術を応用し、大型フェリーの離着岸の自動化などに成功した。同社の担当者は「開発機器の精度を磨き、できるだけ早く無人運航の実現で船員の負担軽減につなげたい」と話した。(大盛周平)






















