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食卓に値上げの嵐 ウクライナ余波、痛む家計 業界に懸念

2022.03.17
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さまざまなパンが並ぶ店内。4月から値上げを予定する=神戸市中央区琴ノ緒町4、トミーズ三宮東店

さまざまなパンが並ぶ店内。4月から値上げを予定する=神戸市中央区琴ノ緒町4、トミーズ三宮東店

神戸新聞NEXT

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「神戸ラーメン第一旭」の製麺工場で麺をそろえる従業員。食品の値上げが続く中、ロシアによるウクライナ侵攻によるさらなる影響が懸念される=神戸市中央区琴ノ緒町1

「神戸ラーメン第一旭」の製麺工場で麺をそろえる従業員。食品の値上げが続く中、ロシアによるウクライナ侵攻によるさらなる影響が懸念される=神戸市中央区琴ノ緒町1

昨年12月に値上げした「神戸ラーメン第一旭」。食品の値上げが続く中、ロシアによるウクライナ侵攻で、さらなる影響が懸念される=神戸市中央区多聞通1

昨年12月に値上げした「神戸ラーメン第一旭」。食品の値上げが続く中、ロシアによるウクライナ侵攻で、さらなる影響が懸念される=神戸市中央区多聞通1

 昨年からの原油価格の上昇や原料高などで、食品の値上がりが止まらない。ロシアによるウクライナ侵攻で拍車がかかり、兵庫県内の食品メーカーや飲食店、スーパーは神経をとがらせる。両国が一大産地である小麦に加え、物流にも混乱は及びかねず、幅広いコスト高への懸念が強まる。影響の長期化も予想され、消費者からは家計圧迫に不安の声が上がる。(広岡磨璃、赤松沙和)

 チーズ、菓子、袋麺、ペットボトル飲料…。今年に入り、食品メーカーは次々に値上げを発表した。マヨネーズや食用油など、昨年以降、これまでに5回の値上げを重ねた商品もある。

 県内では、練り物メーカーのカネテツデリカフーズ(神戸市東灘区)が3月から練り製品を平均約10%値上げ。魚介類の国際的な需要の高まりなどで原材料が大幅に高騰している。ロシア産の原料はごく一部といい、ウクライナ侵攻の影響は今のところはないとするが、担当者は「長期化すれば、どんな影響が出るか見通せない」と警戒する。

 伊藤ハム(西宮市)も、原料に加え、資材価格や物流費などの経費がかさむ。ハム・ソーセージなど230品目で3月から価格を最大14%引き上げた。「ウクライナ侵攻によって穀物が高騰し、畜産事業の飼料にも影響するのでは」と不安感を示す。

 相次ぐ食品の値上げに、スーパー側も対応に苦慮する。コープこうべ(神戸市東灘区)は、特売の回数を減らし、期間も短くする。その一方、仕入価格が安定している生協の全国組織のプライベートブランド(PB)「コープ商品」64品目については3月末まで特売する。担当者は「こんな時だからこそ、せめてPBの価格は買い求めやすくしている。今後はさらに仕入れ値に響いてきそうだ」と話す。トーホー(同)は「他社の状況を見ながら、できるだけ売価は据え置いているが、大半は転嫁せざるを得ない」とする。

 消費者からは嘆きの声が上がる。多くの商店が立ち並ぶ神戸市灘区の水道筋商店街。スーパーの特売を目当てに訪れた同区の女性(58)は「保存のきく食品だけじゃなく、野菜も何もかも上がっている。安い時にまとめ買いをするしかないですね」とあきらめ顔。同市中央区のパン店を訪れた女性(53)は「状況を考えれば、値上げは仕方ないとは思うが、いつまで続くのだろう…」と不安を口にした。

 ウクライナ侵攻の影響をより色濃く受けそうなのが、パンやラーメンなど小麦製品を扱う店だ。ロシア、ウクライナ両国は世界有数の穀倉地帯。今月には、政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格が過去2番目の高値となった。ロシアによる侵攻の長期化で、さらなる上昇が見込まれている。

 「原料価格は上がる一方。商品に転嫁しても追い付かない」。神戸市内に4店舗を構えるパン製造販売、トミーズ(神戸市東灘区)の担当者は頭を抱える。

 小麦や油脂、包装材などの相次ぐ高騰を受け、4月からの値上げを決めたばかり。人気商品「あん食」は700円から750円へ。食パンは50円、菓子パンは10円引き上げる。「今回の値上げはウクライナ情勢までは加味していない。高騰が続けば、さらなる値上げも避けられない」と原材料の値動きを注視する。

 神戸市内で直営4店舗を展開する「神戸ラーメン第一旭」は、昨年末に単品のラーメンを最大60円アップしたばかり。運営会社の田口隆弘社長(76)は「セットメニューを千円までに抑えたいが、上げるときには上げるしかない。従業員は消費者でもあることを考えると、値上げで人件費も上げていく必要がある」と話した。

【特集ページ】ウクライナ侵攻