経済
ガスエンジンで水素混焼 川重が国内初の技術開発 CO2削減期待、既存の設備にも追加可能
川崎重工業(神戸市中央区)は、発電所向けの大型ガスエンジンに搭載する水素混焼技術の開発に国内で初めて成功した、と発表した。水素を体積比で最大30%の割合で天然ガスに混ぜて安定運転でき、商用化が実現すれば二酸化炭素などの温室効果ガス排出削減につながる。2025年の発売を予定する。
水素は、天然ガスに比べて燃焼速度が速く、温度も高く、天然ガスと混焼すると、内部の部品が熱で使えなくなる課題があった。
新技術では、発電出力や天然ガスと水素の混合率に適した燃焼状態に制御するシステムを構築。実証運転で運用の安定を確認したという。
天然ガスを燃料とする従来型のガスエンジンに水素供給系統を追加するなど、最小限の設備更新で運用できるという。水素混焼を導入した新規モデルの発売とともに、稼働中の既存製品の改造にも対応する予定。
大型の発電出力5メガワット以上のガスエンジンを想定する。6メガワットの出力で年間4千時間運転した場合、天然ガスだけを燃やす場合に比べ、年間千トンの二酸化炭素の排出削減につながるという。
川重が取り組む水素サプライチェーン(供給網)の技術開発の一環。国内の二酸化炭素発生量の約4割を占める発電分野で、脱炭素化への貢献を目指す。同社は、水素事業の売上高を25年見込みの1千億円超から、30年には3千億円にまで引き上げる計画を掲げている。(大島光貴)