経済
神戸の瓦せんべい「菊水総本店」21日に閉店 建物老朽化で150年の歴史に幕
瓦せんべいで知られる1868(明治元)年創業の老舗和菓子店「菊水総本店」(神戸市中央区多聞通3)が21日で、約150年の歴史に幕を下ろす。1980年代の神戸観光ブームに沸き、2010年には経営不振で閉店した店を元従業員らが再開させるなど、栄枯盛衰もあり、地元客らに愛されてきた。
同店は南北朝時代の武将、楠木正成を祭る湊川神社の向かいにある。代表の堀木利則さん(68)によると、正成に心酔した初代店主が茶屋を開いたのが始まり。瓦せんべいは、1872年の社殿建築の際、氏子らが瓦を寄進したことにちなみ生まれたという。現在のせんべいには菊水の紋や正成の姿が焼き印で押されている。マーガリンやラム酒を使い、さくっとした歯触りと優しい甘みが特徴だ。
1976年入社の堀木さんが思い出深いのは、81年の神戸ポートアイランド博覧会。複数ある瓦せんべいメーカーの中で、唯一の直営店として出店。車4、5台にいっぱいの商品を納品しても連日、瞬く間に売り切れた。営業を終えた店を客が取り囲んで「ドンドン」と扉をたたき、「まだか」と求めるほどだった。
その後、洋菓子人気などに押され、経営不振に陥る。2006年にUCC上島珈琲(神戸市中央区)の子会社となり、立て直しを図るが黒字化できず、いったん会社を清算。しかし堀木さんら元従業員4人が資金を持ち寄り、閉店から2カ月後の10年3月に再開を果たした。併設の喫茶では、かき氷も人気を集めた。
ただ1965年に建設した工場兼店舗のビルが老朽化し、「建て替えも難しく、数年前から、そろそろ潮時かと考えていた」と堀木さん。事業承継の道も探ったが、新型コロナウイルス禍で探すのが難しくなった。「それに、この店はこの場所にあってこそ。皆さん、神社での思い出も込みで瓦せんべいの味を覚えてくれている」
閉店が近づき、店が開く午前9時には連日、客が列をつくり、昼過ぎには売り切れる。商品の在庫状況によっては21日より早く閉める可能性もある。堀木さんは「心苦しいが、ここまで頑張ってこられた。菊水のご先祖からも、ばちは当たらないでしょう」とほほ笑んだ。(広岡磨璃)
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