経済
直営唯一の生産拠点、六甲アイランド食品工場を閉鎖 コープこうべ会見詳報【一問一答】
生活協同組合コープこうべ(神戸市東灘区)が、直営として唯一の生産拠点「六甲アイランド食品工場」(同区向洋町西2)の稼働を2025年3月末で終了させる。5日に神戸市内で行われた記者会見で明らかにした。発表した同生協商品事業担当の西田浩三常勤理事の一問一答は次の通り。
「工場は稼働から35年目を迎え、建屋、設備、機器などの老朽化が非常に進んでいる。新たな工場の再建についても論議を重ねたが、再建しないことを決定した。工場での生産品は、一部、日本生活協同組合連合会(日生協)との共同開発でコープ商品として品質、味を可能な限り引き継ぐことを検討している」
「阪神・淡路大震災での緊急物資搬送や、食品廃棄物処理設備の稼働、年末の小餅の製造など、これまで多くの報道で食品工場の認知度を向上していただいた。今回も場を設けてしっかりとご報告すべきと考えた」
-従業員の処遇については。
「子会社に業務委託し、工場勤務者は276人。従業員の声を聞きながら、希望者についてはコープこうべグループや本体への転籍を進める」
-稼働終了に至った原因を詳しく。
「稼働から30年余りが経過し、設備の老朽化で維持にも大きな投資金額がかかるのが要因。出荷高も減少しており、1993年をピークに右肩下がりとなっている。製造する商品は豆腐やこんにゃくなど素材関係が多い。総菜商品の伸びに対して、素材の利用は年々減っている。生産事業は毎年黒字だが、事業の中には他社製品を仕入れて仕分け、配送する業務が含まれている。ものづくりをしている事業では19年度は赤字だった。こうした状況も加味して稼働終了を決定した」
-原材料や包装資材の高騰も影響しているか。
「高騰も含めた市場トレンドは考慮しているが、直接の理由ではない。人口動向なども加味して、この先工場で黒字収益を生み出すことは難しいと総合的に判断した。工場は7階建てで、原料や水の上げ下ろしにおいて効率が悪く、最新鋭の設備を入れても生産効率は上がらない」
-工場での生産品目数は。
「年間を通して400アイテム。(日生協との)共同開発で継続を検討する商品は1割程度。主力商品にあたり、出荷高(金額)では半分を占める。例えば食パンの『熟成ロイヤル』、『なめらか絹豆腐』など。(神戸ハイカラ)メロンパンも残したい。これまで込めた思いをしっかりと引き継いでいく。価格がどうなるかはお答えしづらい」
-なくなる商品の種別と、その対応は。
「和菓子は出荷高が大きくなく、(別商品への)切り替えを検討している。日生協の商品またはナショナルブランド品(メーカー品)で、組合員が困らないような品ぞろえにしたい。メーカーとはしっかりと交渉し、ご納得いただける価格設定にしたい。(製造・販売を)中止する際には、売り場で告知する」
-工場の跡地利用については。
「土地、建物とも自社所有だが、現時点で発表できる状況にない」
-組合員に対する思いは。
「自己生産は大正時代のしょうゆの醸造に始まり、100年にわたりものづくりを続けてきた。職員としても工場を何とか継続したいという気持ちでやってきたが、今後の市場トレンド、人口動向、事業規模を考えると、再建して収支を見通せる状況になく、今回の決断に至った。これまで工場の商品をご愛顧いただいた組合員には、その思いを引き継ぐべく、共同開発商品としてしっかりと生まれ変わらせていきたい。共同開発にならない商品も、ご要望ご意向を聞きながら、満足いただける品ぞろえを実現したい」
(まとめ・広岡磨璃)




















