経済
川重とエアバス、空港拠点の水素供給網で提携 航空機の燃料化目指す
川崎重工業(神戸市中央区)と欧州航空機大手エアバスは12日、空港を拠点とした水素のサプライチェーン(供給網)構築に向けて調査を始めたと発表した。エアバスは2035年までに水素を燃料とした航空機の就航を目指しており、川重とともに水素の生産や空港への輸送、航空機への補給の仕組みを検討する。1年の調査で課題を洗い出し、実現までの行程表を示す。
川重の西村元彦執行役員水素戦略本部副本部長と、エアバス・ジャパン(東京)のステファン・ジヌー社長が都内で覚書に署名した。覚書は3月から発効している。
共同調査では、エアバスが航空機の特性やエネルギー使用量などの情報を提供。川重が輸送や貯蔵、燃料補給の技術的な見通し、空港に水素を供給するインフラ整備の概要をまとめる。
川重は30年に水素供給網の商用化を目指し、今年2月、オーストラリア産の石炭から製造した水素を世界初の液化水素運搬船で神戸に運ぶ実証事業を岩谷産業など6社と成功させた。
エアバスとの連携でも、川重は、海外から液化水素を大型運搬船などで国内の空港に運ぶ方法を想定。水素を燃料とするエアバスの航空機就航に向け、30年以降の実現を見据える。
ジヌー氏は「水素航空機の実現と普及には空港での水素インフラ構築が必須」と連携の意義を強調。西村氏は「空港は航空機、鉄道、バス・トラックが集まる水素利用の一大集積地。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)の重要な拠点になる」と述べた。(大島光貴)




















