ひょうご経済プラスTOP 経済 古都・奈良へGo! 英エリザベス女王乗車の列車リニューアル 近鉄が新型観光特急を運行

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古都・奈良へGo! 英エリザベス女王乗車の列車リニューアル 近鉄が新型観光特急を運行

2022.04.27
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試運転で大阪上本町駅のホームに到着した「あをによし」=大阪市

試運転で大阪上本町駅のホームに到着した「あをによし」=大阪市

家具メーカーに特注したシートがゆったりと配置された車内。正倉院の瑠璃杯をイメージした照明など、随所にデザインの工夫が光る=大阪市、大阪上本町駅

家具メーカーに特注したシートがゆったりと配置された車内。正倉院の瑠璃杯をイメージした照明など、随所にデザインの工夫が光る=大阪市、大阪上本町駅

車内限定のスイーツやクラフトビール、グッズなどの販売カウンターもある

車内限定のスイーツやクラフトビール、グッズなどの販売カウンターもある

エリザベス女王特別列車の車内(近畿日本鉄道提供)

エリザベス女王特別列車の車内(近畿日本鉄道提供)

 近畿日本鉄道は29日、大阪、京都と奈良を結ぶ新型の観光特急「あをによし」(4両1編成)の運行を始める。古都・奈良に観光客を呼び込もうと企画され、いにしえロマンたっぷりな内外装で旅情をくすぐる。実はこの車両、オレンジ色に紺のラインで鉄道ファンに親しまれ、2021年11月に惜しまれつつ引退した12200系を生まれ変わらせたもの。同社の特急で最多の168両が生産され、かつて英国のエリザベス女王も乗った-というエピソードがある。

 奈良と、大阪、京都との間に路線を持つ近鉄が新たに導入する。始発は大阪難波から近鉄奈良を経て京都へ。その後、京都と近鉄奈良を2往復し、最終は京都から近鉄奈良を経て大阪難波に戻る。

 車両は1974年製で、約3億3千万円をかけて改造した。奈良が都として最盛期を迎えた8世紀の天平年間をイメージし、外装には古式ゆかしい紫、内装には正倉院の宝物のデザインを採用。瑠璃杯を思わせる照明など、随所に工夫が光る。2人用のツインシートと3~4人用のサロンシートの2種類全84席でゆったりと構成。「あをによし」の名称は奈良の枕詞からとった。

 「まさか、あのときの車両の改造に関わるとは…」。感慨深げに話すのは、観光客向けの特急の企画を長く手掛ける同社企画統括部の奥山元紀さん(61)。75年5月に京都-五十鈴川(三重県)間、鳥羽(同)-名古屋間で運行された特別列車に、来日中のエリザベス女王が乗車した。当時中学生で、伊勢市に住んでいた奥山さんは、女王と列車を見るために五十鈴川駅まで出掛けたという。

 「人だかりで何も見えませんでしたが、いい思い出です」。女王が乗ったのは、あをによしの1号車中央付近にあたるといい「鉄道の旅と合わせて、こんなエピソードも楽しんでもらいたい」と話す。

 旅の車窓のハイライトは、生駒山から望む大阪平野と、広大な平城宮跡。奈良駅に到着して地上に上がると、すぐにシカが出迎えてくれる。

 兵庫県内からは、阪神なんば線経由で大阪難波駅に行くと、同駅から乗ることができる。料金は大阪難波-近鉄奈良間1300円、近鉄奈良-京都間1370円。原則木曜を除く毎日運行する。(西井由比子)