ひょうご経済プラスTOP 経済 売上高、利益「最高」相次ぐ 原材料などコスト上昇、価格転嫁で明暗も 県内上場企業22年3月期決算

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売上高、利益「最高」相次ぐ 原材料などコスト上昇、価格転嫁で明暗も 県内上場企業22年3月期決算

2022.05.24
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フジッコの決算会見=大阪市中央区北浜、大阪取引所(撮影・赤松沙和)

フジッコの決算会見=大阪市中央区北浜、大阪取引所(撮影・赤松沙和)

神戸新聞NEXT

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 兵庫県内に本社・本店を置く上場73社の2022年3月期決算が出そろった。前期比で、59社(81%)が売上高を伸ばし、48社(66%)が純損益の増加か黒字転換を果たした。新型コロナウイルス禍からの経済回復を受け、製造業を中心に売上高や利益が過去最高を更新する企業が相次いだ。ただ、原材料高などコストアップの影響が色濃く出ており、価格転嫁できるかどうかなどが今期の業績を左右しそうだ。

■需要増、物流も活発化

 前期に比べ、売上高は、73社のうち59社が増え、減ったのは14社(19%)にとどまった。純損益は、48社が増益・黒字転換となり、減益・赤字は25社(34%)だった。

 業績が過去最高となった企業も目立った。新型コロナワクチンの原液製造を受託し、過去最高を更新した医薬品メーカー、JCRファーマ(芦屋市)の薗田啓之常務は「当社が創業以来積み上げてきた生産分野の強みが十二分に発揮できた」と胸を張る。

 電炉大手の大和工業(姫路市)も経常、純利益が最高に。経済回復が進む米国や東南アジアでの土木・建築用鋼材の販売が堅調で、米澤和己取締役常務執行役員は「需要はかなり強い。原材料高などは厳しいが、売価に反映できており、価格、量ともに伸びる」とさらなる上積みを狙う。

 世界的に不足する半導体需要を追い風にした日本電子材料(尼崎市)やトーカロ(神戸市中央区)、第5世代(5G)移動通信システムの活況を取り込んだ石原ケミカル(同市兵庫区)や大真空(加古川市)も売上高や利益が最高となった。

 個人消費や物流も活発化し、川崎汽船(本店・神戸市中央区)や明治海運(同市中央区)、G-7ホールディングス(同市須磨区)、石光商事(同市灘区)も空前の好調ぶりを見せた。

■川重、神鋼も業績好調

 兵庫経済を支える大手メーカー2社も好調だった。

 川崎重工業(神戸市中央区)は先進国のアウトドア需要でモーターサイクル部門が最高益となり、急激な円安も寄与。2年ぶりの最終黒字となった。

 橋本康彦社長は「引き続き高いニーズがある。原材料高騰や物流の混乱で停滞する可能性はあるが、ベストを尽くす」と説明。バイクや油圧機器など量産品を値上げし対応する構えだ。

 神戸製鋼所(同)は、自動車向けを中心に鋼材などが大きく伸び、売上高が13年ぶりに2兆円を突破。原料高に伴う在庫評価益もあり純利益は前期比2・6倍の大幅増となった。

 勝川四志彦取締役執行役員は「原料の高騰に伴う価格交渉をしっかりやって、より安定的な収益に貢献する」と強気の姿勢だ。

 同じく自動車向けなどを中心に、軸受け鋼が堅調で過去最高業績となった山陽特殊製鋼(姫路市)は23年3月期業績予想で、経常利益以外の開示を見送った。原燃料価格や特殊鋼の需要動向が不透明とし、宮本勝弘社長は「需要はあるがつくるための材料、原燃料が上がっている。一番の対策は値上げをすることだ」と強調した。

■消費財を扱う企業悲鳴

 一方、コストアップの価格転嫁が難しいのが消費者向けの商品を取り扱う企業だ。経営層からは厳しい声が聞かれた。

 パスタを製造する日本製麻(神戸市中央区)は、巣ごもり需要の一服や飲食店の営業自粛、時短の影響を受けて販売不振に陥り減収減益だった。中川昭人取締役は原料の小麦の値上がりをにらみ、「パスタの値上げがスムーズにできるかどうかが課題」と語った。

 総菜メーカー、フジッコ(同)も同じく減収減益に。福井正一社長は「消費者の財布は固くなっており、値上げについてきてくれるか。6月の値上げでなんとか収益は確保したいが、さほどよくはならない」と厳しい表情。「固定客を大事にするための対策が必要だ」と次の手を模索する。

 コロナ禍で売り上げを伸ばしていた食品スーパーも身構える。関西スーパーマーケットなど3社を傘下に置き、2月に発足した関西フードマーケット(伊丹市)の林克弘社長は「コストアップはスーパーにとっては逆風で、買い上げ点数が落ちていきそうだ」と、先行きの不透明感を懸念していた。(まとめ・大島光貴)