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「物言う株主」の影響?三ツ星ベルト、利益100%を配当公表 直後から株価急上昇

2022.05.27
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三ツ星ベルトの神戸本社=神戸市長田区浜添通4(同社提供)

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神戸新聞NEXT

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 産業用ベルト大手の三ツ星ベルト(神戸市長田区)の株価が急上昇している。13日の連結決算発表で、配当金総額を増やし、純利益に占める割合を示す「配当性向」を100%に引き上げる目標を掲げた。兵庫県内では10~30%台が多い中で、手厚い株主還元に市場が反応したとみられる。

 2023年3月期の年間配当予想を前期比77円増の1株220円と公表。配当性向は同35・6ポイント増の100・5%と、純利益予想63億円の全てを配当に充てるとした。

 県内に本社、本店を置く東証プライム上場企業の23年3月期予想で配当性向が70%を超えるのは計32社のうち、前期から年間配当を据え置くグローリー(205・6%)と日工(71・7%)を加えた3社のみ。50%以上でも計9社で、多くは30%台までにとどまる。

 三ツ星ベルトの池田浩社長は「成長投資への原資を確保した上で株主還元を図る」と強調。企業の収益性を表す自己資本利益率(ROE)8%を確保する目標を示し、24年3月期の配当性向も100%を目指すとした。

 発表当日の今月13日、同社株の終値は前日比348円高の2314円に急騰。その後も高水準で推移し、24日は2832円と、取引時間中の年初来高値を更新した。ここ数日は落ち着きを見せ、26日の終値は同11円高の2715円だった。

 市場の急激な反応については、株主提案への同社の対応が一因とみる向きもある。決算発表をした13日、株価上昇による株主還元の拡充などを狙い、役員報酬の制度変更と自社株買いを求めた英国ファンドの株主提案に反対を表明。1週間後の20日、提案額の約2割に当たる自社株買いを行った。24日には株主提案の取り下げも公表した。

 光証券(神戸市中央区)の扶川円伯商品部長は「株主提案の影響があったのは間違いない」とした上で、「バブル崩壊後の株価下落などで銀行や取引先による株式の持ち合い解消が進み、『物言う株主』が増えた。今後、日本でも株主に利益を還元する流れはますます加速するだろう」とみている。(大島光貴)