ひょうご経済プラスTOP 経済 墜ちたダイヤ~三菱電機 不正の構図(下) 管理職が不正を指示「生活がかかっている」

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墜ちたダイヤ~三菱電機 不正の構図(下) 管理職が不正を指示「生活がかかっている」

2022.05.28
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三菱電機の発祥の地・神戸製作所の西門=神戸市兵庫区(撮影・秋山亮太)

三菱電機の発祥の地・神戸製作所の西門=神戸市兵庫区(撮影・秋山亮太)

三菱電機の発祥の地・神戸製作所の西門=神戸市兵庫区(撮影・秋山亮太)

三菱電機の発祥の地・神戸製作所の西門=神戸市兵庫区(撮影・秋山亮太)

 「工場や製造ラインの採算性の向上、維持のため。悪いとは思っていない」

 三菱電機の検査不正問題の調査結果を報告した25日夕の記者会見。調査委員会の木目田裕弁護士は、不正に携わった社員らの意識をこう表現した。

 発電所向けの大容量変圧器を製造する系統変電システム製作所赤穂工場(兵庫県赤穂市)。少なくとも1980年代初めから品質不正が行われてきた。

 始まりは40年以上前、利益率が落ち込んだ変圧器の採算性を維持しようと、管理職が不正を指示した。「お前の肩には、関係会社を含め、従業員とその家族千人以上の生活がかかっている」。社内基準を下回った設計にし、試験も規定を低くして行うよう求めた。

 耐電圧試験では、設計部門が、品質管理部門に対して、実測値ではなく基準内の数字を記載するように指示。さらに実測値も報告させ、基準内に収まっていない場合は、修正した数値を顧客に提出する試験成績書に記入するよう求めた。

 木目田弁護士は「不正を行うのが当たり前のようになり、惰性のようなもので続けていた」と話す。

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 今回、調査委がまとめた3回目の報告書は、256ページに及ぶ。ヒアリングした担当者や管理職の大半は、当該拠点での勤務経験しかなく、他の拠点については何も知らないという反応が圧倒的多数だったという。

 そうした環境が、本社や他の拠点への無関心を生んだ。その半面で、所属する組織への帰属意識が強まり、内向きの論理をはびこらせた。

 組織ぐるみの不正を「自身の帰属する拠点を守るためという正当化が顕著になされ」た結果、「品質不正の背景や温床となっていた」と分析した。

 こうした構図は過去10年間、兵庫県内で相次いだ大手企業の不正にも当てはまる。東洋ゴム工業(現TOYOTIRE、伊丹市)では2015年、子会社が免震装置や産業用防振ゴムの製品データを改ざんした。17年には神戸製鋼所(神戸市中央区)で、アルミ製品などの検査不正が発覚。21年には住友ゴム工業(同)、今年に入ると神東塗料(尼崎市)でも不正な製品検査が明らかになった。

 一連の不正の共通点は、他の部門との人事交流が少ない環境で起きたことだ。扱う製品は企業向けで、一般消費者と向き合う必要もなかった。

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 その中でも三菱電機が特異なのは、不正が全国22拠点のうち16拠点と全体の7割を超え、他の企業よりも広がりが大きい点だ。

 同社の漆間啓社長は記者会見で「これだけの件数が出ていることを真摯に受け止める。それぞれの工場、全体を見たときに共通する風土があるのではと思っている」と話した。

 その風土を変えて、グループ従業員約15万人の意識を外向きにできるか-。神戸・和田岬での創業から102年目となる巨大メーカーの決意が試されている。(高見雄樹)