経済
石炭火力発電に疑問噴出 神鋼株主総会 幹部「どの電源も長所と短所ある。最適な組み合わせ図る」
神戸製鋼所の定時株主総会が22日、神戸市中央区で開かれた。脱炭素の流れが加速する中、株主からは、神鋼が進める石炭火力発電事業への姿勢を問う質問が噴出。会場周辺では市民らが横断幕を掲げ、石炭火力発電所の運転見直しなどを呼びかけた。
神鋼は今年2月、同市灘区の石炭火力発電所で増設を進めてきた2基のうち、3号機の営業運転を開始。4号機も2022年度中の稼働を予定している。
一方で、神鋼は50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)を経営の最重要課題に掲げる。山口貢社長は「二酸化炭素(CO2)排出削減を達成し、企業価値の向上を図る」と強調。石炭火力発電所では、燃料にアンモニアを混ぜてCO2排出を抑える技術開発を急ぐとした。
株主からは「国の試算では、30年の発電コストは石炭よりも太陽光の方が安くなる。それでも石炭火力を続けるのか」と質疑が飛び、神鋼幹部は「送電線などにかかるコストも含めれば、石炭の方が安い」と回答。「どの電源にも長所と短所がある。再生可能エネルギーや石炭火力、互いの長所を生かしてベストな組み合わせを図る必要がある」と述べた。
また今後、大規模な発電所を造る計画があるかとの株主の問いに、山口社長は「ありません」と答えた。(横田良平)