ひょうご経済プラスTOP 経済 1泊10万円以上の客室 兵庫は京都の3分の1 訪日客回復見据え、課題大きく

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1泊10万円以上の客室 兵庫は京都の3分の1 訪日客回復見据え、課題大きく

2022.06.10
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有馬温泉の老舗旅館「中の坊瑞苑」。将棋の「王位戦」の舞台としても知られる=神戸市北区有馬町

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 兵庫県内にある1泊の室料が10万円以上の高級ホテルや旅館の客室は454室で、大阪府の半分、京都府の3分の1にとどまることが、日本政策投資銀行関西支店の調査と推計で分かった。温泉の多い兵庫は、高級宿に泊まる日本人観光客が宿泊先とする比率が関西で最も高かったが、訪日外国人客を含めると京都、大阪と大差がついた。新型コロナウイルス収束後の観光需要回復を見据え、所得の高い外国人客の呼び込みに影響しそうだ。(高見雄樹)

 同支店がリポート「2026年のラグジュアリー(高級)ホテル需給推計」で発表した。インターネットの宿泊サイトやホテルへの聞き取りから、1泊2人で10万円以上の客室は京都が1437室と関西6府県で最も多かった=グラフ(1)。五つ星や四つ星ホテルのほか、町家を改装したユニークホテルも最多だった。

 大阪は大半がホテルだった。兵庫は五つ星ホテルがなかったが、温泉旅館は276室と最多だった。

 同支店が日本観光振興協会の資料を基に、17~19年の日本人観光客の宿泊動向を分析。全国のラグジュアリーホテル利用者の宿泊先の地域別シェアを推計すると、兵庫は3・8%と全国8位で、関西ではトップ。国内首位は千葉県の9・6%で、京都は3・2%、大阪は3・0%だった。

 兵庫県のシェアが高い要因を、同支店は「有馬や城崎など国内有数の人気温泉地や淡路島を中心にラグジュアリーホテルが整備され、集客につながっている」と分析。旅館は朝夕2食付きが主流で、宿泊単価が上がる傾向があるという。

 一方、観光庁が調査した訪日外国人客の都道府県別訪問率(19年)は、大阪が43・4%で全国1位、京都は32・8%で同3位、兵庫は6・4%で同12位だった。こうしたデータから推計し、26年に高級ホテルを使う訪日客の延べ人数は、大阪が124万8千人、京都が75万4千人となる一方、兵庫は8万5千人にとどまるとした。

 京都や大阪市内のほか、奈良県内でも大阪・関西万博が開かれる25年を目指して高級ホテルの開業ラッシュが続く予定。

 神戸・三宮では、再整備の中核となる高層ツインタワーの1期ビルに「EVOL HOTEL KOBE」(エヴォルホテル コウベ=仮称)が27年度にオープンし、最も高価な部屋は1泊20万円。兵庫でも高級客室は増えるが、同支店は増加する訪日客の需要が供給を上回ると予測する=グラフ(2)。特に大阪では需要に対して55%程度の供給にとどまるとみている。

 高級ホテルの宿泊客は高収入層が多く、飲食や土産物購入で地域経済への波及効果が見込める。同支店企画調査課は「兵庫には伸びしろがあり、訪日客を新たな施設に呼び込める可能性は大きい」としている。