経済
プロが届けるプロの音 演奏者派遣会社、現役テノール歌手が経営10年「音楽家の地位向上と人材発掘」
現役のテノール歌手が経営する演奏者派遣会社が兵庫県姫路市にある。株式会社アートインターナショナルオフィス。社長の榎本輝明さん(40)は音楽に精通する強みを生かしてイベントや冠婚葬祭などの雰囲気に対応した生の音楽を提供。ピアノ、聖歌隊、フルート、バイオリン…。起業から10年。登録する奏者らは200人に上る。「よい音楽を提供することがひいては音楽家の地位向上と人材の発掘につながる」。次の戦略は国際コンクールの開催だ。(加藤正文)
榎本さんは姫路市出身。大阪音楽大音楽学部を首席で卒業し、2008年にイタリアのローマとミラノに留学。マルツィアーリ音楽院プロフェッショナルコースを修了した。10年に帰国し、数々のコンクールで賞を受ける。一方、国内外でリサイタルを開き、先輩音楽家たちの状況を見る中で、「演奏活動で生計を立てていくのがいかに難しいか。希望を見いだす必要がある」と痛感したという。
まず大手音楽プロダクションに入社。パーティーや結婚披露宴などに演奏者を派遣する部門のマネジャーとして勤務し、営業やシフト管理のノウハウを身に付け、12年に独立した。
年間にこなす演奏は約2500件。大切にしているのは「できる限り優秀な演奏者を使うこと」。ホテル、結婚式場などからパーティーや披露宴向けに派遣の依頼が入るが、演奏家として力量のある人を使うように心がけてきた。経営目標として掲げるのは独創的で質の高い価値の提供▽利益ある成長と貢献-などだ。歌手兼経営者としての目標は「将来の音楽界をけん引できる人材の育成」という。
自ら実行委員会会長となり、今年、「日本国際音楽コンペティション」を初企画した。小学生~35歳を対象とする管楽器、弦楽器、打楽器、ピアノ、声楽の5部門のコンクール。姫路市のホール「アクリエひめじ」で8月に本選を開催し、12月のグランプリファイナルで入賞者を決定する。榎本さんは毎年開催していく考えで、「身近な場所でよい音楽がいつでも聴ける。そんな環境を整えたい」と話している。同社神戸オフィスTEL078・351・5577



















