ひょうご経済プラスTOP 経済 世界が注目、3Dプリンター住宅 24時間で完成し、1棟300万円「車買う値段で」

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世界が注目、3Dプリンター住宅 24時間で完成し、1棟300万円「車買う値段で」

2022.07.15
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3Dプリンターで造った住宅について説明するセレンディクスの飯田国広COO(左)と緒方海斗最高技術責任者(CTO)=愛知県小牧市

3Dプリンターで造った住宅について説明するセレンディクスの飯田国広COO(左)と緒方海斗最高技術責任者(CTO)=愛知県小牧市

住宅メーカーの工場敷地内で組み立てられる3Dプリンター住宅(セレンディクス提供)

住宅メーカーの工場敷地内で組み立てられる3Dプリンター住宅(セレンディクス提供)

住宅メーカーの工場敷地内で組み立てられる3Dプリンター住宅=愛知県小牧市池之内(セレンディクス提供)

住宅メーカーの工場敷地内で組み立てられる3Dプリンター住宅=愛知県小牧市池之内(セレンディクス提供)

オランダのメーカーから購入した3Dプリンターと、成形された住宅の部材=愛知県小牧市(セレンディクス提供)

オランダのメーカーから購入した3Dプリンターと、成形された住宅の部材=愛知県小牧市(セレンディクス提供)

セレンディクスが発売する3Dプリンター住宅のイメージ(clouds architecture office提供)

セレンディクスが発売する3Dプリンター住宅のイメージ(clouds architecture office提供)

 住宅関連のスタートアップ(新興企業)「セレンディクス」(兵庫県西宮市)は8月、3Dプリンターで造った住宅の販売を始める。3月に愛知県で建てた1棟目の物件を、世界26カ国で、新聞や雑誌、テレビなど60以上のメディアが取り上げるなど、注目度は高い。価格は300万円、24時間以内の短時間で施工できるのが特長だ。同社の飯田国大最高執行責任者(COO)(49)は「車を買う値段で家を提供したい」と意気込む。

 同社は、神戸市出身で電気自動車メーカーGLM(京都市)を創業した経験を持つ小間裕康最高経営責任者(CEO)(44)=香港在住=と、東南アジアで高級コンドミニアムの開発を手がけていた飯田氏が「世界最先端の家をつくろう」と、2018年に設立した。資本金5千万円、従業員は9人。住宅や不動産会社など、国内の約110社が協力している。

 今回建てた住宅は、高さ約4メートル、直径約3メートルの球体に近い形状で、コンクリート造り、広さ10平方メートル、重さ22トン。大型の3Dプリンターを持つ中国の現地企業に依頼し、セレンディクスが作成した詳細な設計データを基にコンクリートの家を四つに分割する形で製造してもらった。その上で、日本に運び、ドアや窓を取り付けて、1軒の家に組み立てた。

 壁や屋根を一体的に設計することで、施工段階の省力化を進め、10平方メートルで売価300万円を実現。部材同士が支え合う球体構造とし、高い耐震性能も備える。デザインは、米国在住の建築家曽野正之さん=西宮市出身=が担当した。手軽に豪華なキャンプを楽しむグランピング施設や、災害時の仮設住宅としての利用を想定する。

 セレンディクスによると、3Dプリンター住宅の開発は海外が先行している。ただ、壁だけの成形で、屋根づくりや鉄筋を入れる手作業の工事が残るため、施工に3~6カ月かかり、費用も従来の5~7割にとどまるという。

 同社では6月、3千万円を投じてオランダのメーカーから購入した3Dプリンターが日本に到着。これから同じ形の家を愛知県で製造し、組み立ててみて、震度7を想定した耐震実験を経た上で販売する計画だ。今後はセレンディクスが住宅の注文を受けて、建築会社にデータを販売するビジネスモデルを描く。

 「30年の住宅ローンをなくすことで、自由で明るい未来をつくる」と飯田氏は力を込める。引き合いが多いという60代夫婦世帯向けには、49平方メートルの家を慶応大と共同開発しており、2023年春の発売を計画。同年末には100平方メートルで300万円の住宅の販売を目指し、「25年の大阪・関西万博に3Dプリンター住宅を出したい」と語る。(大島光貴)