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見知らぬ客同士で「いいね」 商店街にぎわいへ、川崎重工業がアプリ開発 三宮で実証実験

2022.07.19
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川崎重工業などが位置情報を使ったアプリで、にぎわい創出に向けた実証を行う三宮本通商店街=神戸市中央区三宮町2

川崎重工業などが位置情報を使ったアプリで、にぎわい創出に向けた実証を行う三宮本通商店街=神戸市中央区三宮町2

神戸新聞NEXT

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 川崎重工業(神戸市中央区)は、位置情報を使ったスマートフォン用アプリで、神戸・三宮の商店街のにぎわい創出を目指した実証事業に取り組む。衛星利用測位システム(GPS)の電波が届かない屋内でも位置を把握できる同社の技術を応用。アプリを通じ、同じ店の見知らぬ客同士や店員が商品についてやりとりすることを想定し、商店街の活性化につなげる。(大島光貴)

 川重はアプリを「Real D You(リアデュー)」と名付け、開発を進めている。通信用の電波を使って位置を特定できる技術を応用する。同技術では、操作する端末が建物のどの階のどの店舗にあるかを確認することができるという。

 川重が想定するアプリのイメージは、商店街の店にいる客が「このTシャツ、かわいい」と書き込むと、別の人のアプリの地図上にも、発信者を示す目印とともにメッセージが表示。その感想に共感する人が「いいね」などのマークやメッセージを返信できる。同じ店や商品を通じた客同士のコミュニケーションを生み出すとする。

 店との間でも、商品の入荷や接客への評価などのやりとりを想定。客同士や店とのやりとりを促し、常連客の増加も期待する。各店の訪問者数や滞在時間などを分析し、客が店に入りやすい環境についての提案にもつなげたいとしている。

 川重は、今回のアプリの実証を神戸市に相談し、市から三宮本通商店街を紹介された。川重は8月にも、アプリの機能を完成させる予定。年内にも同商店街と、隣接する商店街・三宮センターサウス通のイベントで、アプリの実証を計画する。

 アプリを含めた空間デザインは、建築家津川恵理さん(同市灘区出身)が代表を務める建築設計集団「ALTEMY」が担う。アプリで得られたデータの分析は兵庫県立大、アプリの利用モニターとして神戸女子大にも協力を仰ぐ。

 川重の担当者は「アプリをきっかけに商店街を訪ね、実際に買い物する楽しさを再認識してもらえれば」。三宮本通商店街振興組合の高井学代表理事(57)は「新しい技術を使って、楽しいことが起きる街にしていきたい」と話している。