経済
手術支援ロボ「ヒノトリ」の新訓練施設、東京に メディカロイド、世界市場見据えオープン
医療用ロボットメーカー、メディカロイド(神戸市中央区)は2日、国産初の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」の訓練施設「メディカロイドインテリジェンスラボラトリー東京」を東京都新宿区のビル内に開設した。同様の訓練施設は神戸、名古屋に次ぐ3カ所目。新施設は術者の訓練に加え、将来の遠隔手術や自動手術に向けた開発などを加速させる拠点とする。(末永陽子)
同社は、川崎重工業(同)と医療検査機器・試薬メーカーのシスメックス(同)による共同出資会社。2020年8月、厚生労働省の製造販売承認を取得した。
ヒノトリは、医師らが3D映像を見ながら、内視鏡カメラや手術器具が付いた4本のアームをコントローラーで操作して手術する。同年12月に1例目の手術が行われて以来、症例数は400を超える。全国21施設で導入されているという。
新施設は慶応大病院に隣接するビル内にオープン。同病院では前立腺がんの手術を中心に使われている。
この日、開かれた新施設のお披露目会では、同病院の医師がヒノトリを実演した。手術支援ロボは米国製「ダビンチ」が世界的に有名だが、実演した医師は「ダビンチよりアームが細いなどメリットも多い。精度が高い手術の予習復習に活用させてほしい」と話した。
メディカロイドの浅野薫社長は「関東地区は導入や症例の実績も多く、(新施設の)立地条件は素晴らしい。重要なセンターに位置付けている」とした。
川重の橋本康彦社長は「ここでトレーニングすると同時に、医師たちと新たな術式を発信できる場所に」とあいさつ。シスメックスの家次恒会長兼社長は「日本で一番大きなマーケットの中心に位置することになる。世界の市場を席巻してほしい」と期待を込めた。