ひょうご経済プラスTOP 経済 創業120年超、阪神間中心のカワキ屋クリーニング店 個人向け事業撤退へ

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創業120年超、阪神間中心のカワキ屋クリーニング店 個人向け事業撤退へ

2022.08.11
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個人向けクリーニング事業から撤退するカワキ屋クリーニング店の夙川店=西宮市屋敷町

個人向けクリーニング事業から撤退するカワキ屋クリーニング店の夙川店=西宮市屋敷町

 阪神間を中心に展開するカワキ屋クリーニング店(兵庫県西宮市)が、個人向けのクリーニング事業から撤退することが10日分かった。企業の制服や医療機関の白衣など法人向けに絞り、事業を継続する。

 同社は1901年に広島市で創業。日露戦争では明治天皇が着用した軍服などを扱ったという。14年に神戸に進出し、31年に神戸市灘区で合資会社を設立。空襲で工場が焼失したが47年に西宮市で復興した。もとは集配業務が主力で、阪神間の富裕層を中心に顧客を増やした。「雨が降ってもカワキ屋」のキャッチフレーズは戦前から評判で、57年に商標登録した。

 阪神間に構える8店舗のうち、9月4日に芦屋東山と芦屋駅前、苦楽園の3店を閉鎖。夙川、大谷、六甲アイランドの3店は「クリーニングアルファ」などの名で兵庫県内に55店を持つIDC(同県姫路市)に9月1日付で譲渡。甲陽園、高座橋の2店は、同日付で県内など関西で240店を展開するノムラクリーニング(大阪府)に移す。

 個人宅を回り洗濯物を集める集配事業は今月21日付で同社に移譲。ノムラは集配事業を手がけていないが、これを機にノウハウを得て、他地域での展開も計画する。集配や店舗の従業員は譲渡先の企業に移る。

 クリーニング市場は、家庭で洗える衣類が増え、縮小傾向。そこへ新型コロナウイルス禍に伴う需要の減少が追い打ちをかけ、多くの企業が厳しい状況に陥っている。(塩津あかね)