経済
「軽くカラフル」変幻自在 長田生まれのゴム素材、海外ブランドも注目 東京・渋谷に展示場
「長田生まれのゴム素材は世界の有名メーカーにも負けない」-。神戸市長田区の靴用ゴム資材メーカー「富士高圧」とそのグループ会社が6月、ヨガマットや照明器具などへの活用を提案するショールームを東京・渋谷に開設した。評判は上々で、既に都内の百貨店や海外ブランドの関係者らが次々と訪れ、コラボ商品開発などの提案が生まれている。(永見将人)
渋谷、原宿両駅から徒歩圏内にあり、ブランド店や古着屋などが並ぶショッピングエリアの一角。建物3階に「buntaro」の文字が浮かび上がる。祖父の代から神戸・長田で靴底用資材などを作ってきた「富士高圧プロダクツ」の東田文太郎社長(53)が立ち上げたブランドだ。
東田社長はかつて長田に本社があった内外ゴム(現・兵庫県明石市)が1951年に発明し、ビーチサンダルの誕生につながったとされるゴム素材の軽さや、防水性、クッション性、発色性に注目。衝撃吸収力や抗ウイルスなどの技術も取り入れ、オーダーメードの中敷きや、ビーチサンダルを健康商品に仕立てた「わらじサンダル」を手掛けてきた。
「靴以外の分野にも役立つ素材。ゴムの可能性が広がる世界観をショールームで表現したかった」と東田社長。室内に一歩足を踏み入れると、空間の斬新さに驚く。内装を手掛けたのは、国内外で活躍するインテリアデザイナー、森田恭通さん。よろい戸や装飾に使われる「ルーバー」や、ホワイトボードの周囲にもゴム素材が使われている。
照明器具のランプシェードもゴム素材。森田さんとのコラボ製品第1弾で、ショールームを訪れた百貨店の担当者が早くも「必ず売れる」と太鼓判を押したという。
色とりどりにつり下げられたゴム製のマットをめくれば展示棚が出現。主力商品の「わらじサンダル」などが並ぶ。実際に履いてみたり、マットを手にとって軽さや感触を確かめたりすることができる。
「世界に発信する基地として、この場所を選んだ」という東田社長の期待通り、既に海外ブランドからのアプローチも。パリ発祥の人気ブランド、「MAISON KITSUN●(メゾン キツネ)」の創業者たちが自ら訪ねてきたこともあるという。(※●はEの上に´)
特に軽さが魅力のヨガマットは海外からの注文も増えているといい、今後も柔らかく遮音性に優れた子ども向けマットや、サウナ用マット、床材などの展開を考えている。
東京でも注目度は高い。今月2日まで銀座三越にサンダルやマットの売り場を短期出店したのに続き、10日からは伊勢丹新宿店でも期間限定で出店。ショールームは商談向けだが、今後、一般客が参加できるイベントの開催も検討するという。